薬剤師夫婦の日常

子供のことや薬の話

仕事

下腿浮腫をどう読むか ― アムロジピン10mgからニフェジピンCR20mgへ変更した理由 ―

薬剤師夫婦/夫です。 結論 下腿浮腫の原因が不明な症例において、アムロジピン10mg(最大量)をニフェジピンCR20mgへ変更し評価した判断は、薬理学的にも臨床的にも妥当と考えます。 本介入は「治療」ではなく「評価」を目的とした、実践的で安全性を重視し…

PPIと副作用の意外な落とし穴 ― 治療期間の目安と、エソメプラゾール・ランソプラゾールの違い ―

薬剤師夫婦/夫です。 プロトンポンプ阻害薬(PPI)は、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎などの治療において欠かせない薬剤です。一般的に、胃潰瘍では8週間、十二指腸潰瘍では6週間の投与が標準的な治療期間とされており、これらは多くのガイドラインで…

経口困難事例の鎮痛薬選択

薬剤師夫婦/夫です。 経口困難事例は日常的に遭遇する 臨床現場では「痛みがあるが内服できない」という状況に頻繁に遭遇します。高齢者、術後、嚥下障害、せん妄など、経口困難事例は決して特殊ではありません。このような場面で重要なのは、「注射にすれ…

GLP-1受容体作動薬とDPP-4阻害薬の併用は必要か。

薬剤師夫婦/夫です。 糖尿病治療では、GLP-1受容体作動薬(以下、GLP-1RA)とDPP-4阻害薬はいずれもインクレチン関連薬として使用されています。そのため、「この2剤を併用してもよいのか?」と疑問に思われることがあります。 結論からお伝えすると、GLP-1…

デュロキセチンは「どの科で使うか」で見え方が変わる薬

薬剤師夫婦/夫です。 デュロキセチン(サインバルタ®️)は、整形外科と精神科の両方で処方される薬です。 適応が異なるためですが、適応が違っても「やめ方」は共通で、ここを誤解すると中止時のトラブルにつながります。 整形外科でのデュロキセチン 整形…

同じナトリウムチャネル遮断薬なのに、なぜ嚥下への影響が違うのか

薬剤師夫婦/夫です。 抗不整脈薬の服薬支援をしていると、 「同じナトリウムチャネル遮断薬なのに、なぜメキシレチンは嚥下に影響して、ピルシカイニドは問題になりにくいのか」 と疑問に感じる場面があります。今回は、その違いを整理します。 Vaughan Wil…

第1世代抗ヒスタミン薬2剤併用は保険上問題になるのか?〜耳鼻科処方を考察する〜

薬剤師夫婦/夫です。 今回は、耳鼻科で見かけた抗ヒスタミン薬の処方について、「保険適応上の観点」も含めて考察してみたいと思います。 症例の概要 30代女性。 処方内容 ・ヒドロキシジン25mg 夕食後1カプセル ・d-クロルフェニラミン2mg 朝夕食後2錠(い…

セレネース®️筋注・静注の違いを「ハロペリドール」として整理する

薬剤師夫婦/夫です。 急性期病棟やリハビリ病棟、緩和ケア領域において、不穏や興奮に対して用いられる薬剤の代表がハロペリドールである。 日本では商品名「セレネース®️」として馴染みが深いが、本稿ではあえて一般名であるハロペリドールとして整理する…

動物咬傷後に蜂窩織炎を疑ったときの抗菌薬設計 ― 注射から内服への切り替えと併用の考え方 ―

薬剤師夫婦/夫です。 はじめに 動物咬傷は一見軽症に見えても、数十時間以内に急速な局所炎症を来すことがある。特に皮膚・皮下組織に感染が波及した場合、蜂窩織炎として重症化するリスクがあるため、初期の抗菌薬選択と治療設計が重要となる。 本稿では、…

B型肝炎ワクチン接種とホルモン治療の併用は問題になるのか

薬剤師夫婦/夫です。 はじめに B型肝炎ワクチンは、医療従事者や若年層を中心に接種機会が増えている。一方で、婦人科領域では月経困難症や子宮内膜症などに対して、黄体ホルモン作用を有する薬剤が広く使用されている。 本記事では、黄体ホルモン製剤を服…

薬剤師が診察に同席するという選択 ― 三叉神経痛疑いの一例から見える有用性 ―

薬剤師夫婦/夫です。 はじめに 薬剤師の役割は「処方された薬を安全に渡すこと」だけではない。近年、病棟や外来、在宅の現場において、診察に薬剤師が同席する意義が改めて問われている。本稿では、顔面痛を主訴とする患者の診察に薬剤師が同席した一場面…

ダパグリフロジン研修に感じた違和感 ――「推察」と「確認」の決定的な差

薬剤師夫婦/夫です。 SGLT2阻害薬、とりわけダパグリフロジンに関する研修を視聴する中で、強い違和感を覚えた。 「カルテが見れないので」「薬歴を遡る」「患者からキーワード(KW)を聞き出す」といった発言が繰り返されたからである。 結論から言えば、…

乳酸カルシウムの継続意義を再考する ──骨粗鬆症治療における“カルシウム補給薬”の本当の役割**

薬剤師夫婦/夫です。 はじめに 乳酸カルシウムは外来で長期間処方されていることが多い。しかし、その本質はカルシウム補給薬であり、骨密度改善や骨折予防といった骨粗鬆症治療効果をもつわけではない。この誤解こそ、入院時に見直しが必要となる理由であ…

ペマフィブラート0.4mgからフェノフィブラートへの代替はどう考えるべきか

薬剤師夫婦/夫です。 あっという間に1ヶ月。 主に地域コミュニティ開拓(名目)の為、色々と動いてました。 ブログが滞り申し訳ありません。 いつも読んでいただきありがとうございます。 ぼちぼちやっていきます。 中性脂肪(TG)管理において、ペマフィブラ…

デノスマブが骨折予防に最も信頼される理由

薬剤師夫婦/夫です。 骨粗鬆症治療薬のなかで、デノスマブは最も確かなエビデンスを持つ骨吸収抑制薬である。 ガイドライン(GL)上はビスホスホネート(BP)と同じ推奨度Aに位置づけられているが、 臨床試験の質と長期データの豊富さでは明らかに一歩上をいく…

ロモソズマブはなぜ「一生で12か月」だけなのか

薬剤師夫婦/夫です。 骨粗鬆症治療薬のなかでも、ロモソズマブは特別な位置づけにある。 それは、生涯で12か月(=12回)までしか使用できないという明確な制限がある一方で、 **日本骨粗鬆症学会のガイドラインでも最も高い推奨(推奨度A)**を受けている…

イフェンプロジルの代替としてニセルゴリンは妥当か?

薬剤師夫婦/夫です。 イフェンプロジルは、めまい・耳鳴り・頭部外傷後遺症などに広く用いられてきた脳循環改善薬である。一方で、代替薬としてニセルゴリンが検討される場面がある。しかし両薬剤は作用機序や適応の重心が異なるため、目的に即した選択が重…

KCl製剤が黄色い理由と遮光の要否 〜リボフラビン着色剤の意図を知る〜

薬剤師夫婦/夫です。 点滴にKCl(塩化カリウム)を混注した際、液が黄色く見えることがある。ビタミンB製剤を混ぜたように見えるため、「遮光が必要ではないか」と感じる人も多い。 しかし、この黄色はビタミンB₂(リボフラビン)による着色であり、光分解…

薬剤師という職能の価値を再定義する時代に

薬剤師夫婦/夫です。 AIが進化し、誰もが容易に専門的な情報へアクセスできる時代になった。非薬剤師であっても、一定の知識を身につけ、薬剤師と遜色のない受け答えをすることが可能である。こうした現実に、危機感や恐怖を覚える薬剤師がいるのも理解でき…

注射薬の3点チェックとは――施設ごとに異なる定義と共通の目的

薬剤師夫婦/夫です。 医療現場で「3点チェック」と聞けば、多くの人が“安全確認”を思い浮かべるだろう。 しかし、この3点チェックは施設や職種によって定義や実施方法が微妙に異なる。 その根底にある目的はただひとつ、医療安全を最優先に、患者に正確で安…

憩室炎における抗菌薬選択:セフメタゾールとセフトリアキソンの比較

薬剤師夫婦/夫です。 大腸憩室炎は、腸内細菌の感染により生じる腹腔内感染症である。発熱や腹痛を伴い、重症化すると膿瘍形成や穿孔に至ることもある。その治療の基本は、腸内細菌(好気性菌)と嫌気性菌の双方をカバーする抗菌薬の投与である。 起炎菌の…

NRS1でもレスキュー投与してよいのか?

薬剤師夫婦/夫です。 疼痛管理において「NRS(Numerical Rating Scale)」は、患者自身の痛みを0から10の数値で表す指標である。では、NRS1という軽度の痛みを訴えたときでも、レスキュー(頓用)投与は行ってよいのだろうか。 NRSスコアの意味と一般的な対…

インフルエンザワクチンと帯状疱疹ワクチンの接種間隔は?

薬剤師夫婦/夫です。 秋冬にかけてインフルエンザワクチンの接種が始まる時期、帯状疱疹ワクチン(組換え)との同時接種について質問を受けることが増える。結論からいえば、インフルエンザワクチンと帯状疱疹ワクチン(組換え)は同時接種が可能であり、間…

湿布薬の63枚制限とは

薬剤師夫婦/夫です。 湿布薬には保険診療上の上限があり、厚生労働省の疑義解釈資料により「1処方につき63枚まで」と定められている。これは「1か月あたり」ではなく「1回の処方」に対する制限である。ただし実際の診療では、慢性疼痛患者の多くが月1回処方…

ランソプラゾールは鉄の吸収を妨げるのか

薬剤師夫婦/夫です。 胃酸と鉄吸収の関係 鉄の吸収、とくに植物性食品に含まれる非ヘム鉄の吸収には胃酸が欠かせない。 胃酸は鉄を可溶化させ、三価鉄(Fe³⁺)を吸収しやすい二価鉄(Fe²⁺)に還元する役割を持つ。 そのため、胃酸が不足すると鉄の吸収が低…

吸入困難かつ循環器リスクを抱える喘息患者への治療戦略

薬剤師夫婦/夫です。 はじめに 気管支喘息の標準治療は吸入ステロイド(ICS)を中心としたステップアップ治療である。しかし、高齢者や認知症患者、あるいは嚥下障害や手技の困難さを伴う患者では、吸入療法自体が実施できない場合がある。このような「吸入…

TG高値に対する次の一手:スタチン増量かフィブラート追加か

薬剤師夫婦/夫です。 中性脂肪(TG)が240mg/dLと依然として高値を示す症例において、治療選択肢として ロスバスタチン増量 と ペマフィブラート(パルモディア)追加 が議論される場面は少なくない。ここでは両者の妥当性を整理してみたい。 スタチン増量…

薬剤師のカルテ記載と伝え方の工夫

薬剤師夫婦/夫です。 薬剤師がカルテに記録する内容は「情報提供」という形をとりながらも、時に「指導」に近い側面を帯びる。薬学的な根拠をもとに処方の中止や変更を提案することは正当であっても、その伝え方次第で医師や他職種に「命令」や「批判」のよ…

CKDと高リン血症管理における鉄含有リン吸着薬の位置づけ

薬剤師夫婦/夫です。 はじめに 慢性腎臓病(CKD)が進行すると、腎機能低下に伴いリン排泄が困難となり、高リン血症が生じやすくなる。高リン血症は二次性副甲状腺機能亢進症や血管石灰化のリスク因子であり、CKD-MBD(骨ミネラル代謝異常)の中心的な課題…

ゾピクロンとエスゾピクロンの違い

薬剤師夫婦/夫です。 はじめに 睡眠薬には大きくベンゾジアゼピン系と非ベンゾジアゼピン系がある。ゾピクロンとエスゾピクロンは後者に属し、いずれも短時間作用型の睡眠薬である。両者は「鏡像異性体」の関係にあり、似た構造を持ちながらも薬理学的な特…