薬剤師夫婦/夫です。
薬局の形態にも様々あります。
総合病院のような大きな病院の前にある薬局や町のクリニックの隣やすぐ近くにある薬局など。
いずれも昨今の超高齢化社会において、在宅訪問(患者宅に出向き服薬指導を行う)を行なっている事が通常となっています。
ただし、その割合は薬局によって様々であり、外来(院外処方箋の受付)の負担が大きく、薬剤師の数が十分に確保できていなければ、在宅に対応できないことも多くあります。
私が前職で最後に配属となり勤めていた薬局は1日の受付処方箋枚数が平均100枚。
主な診療科目は皮膚科であり、処方薬はそれ程複雑ではありませんでした。
在宅も受けていましたが、認知症の方と肺気腫の方の2件のみでした。
いずれも病状は安定しており、定期処方薬の変更もほとんどありませんでした。
一方で、今勤める薬局は外来が1日2〜3件。
ほとんどが在宅患者で、ターミナルケア(最期の近い方への対応)も少なくありません。
主に連携をとる診療所が、訪問診療を専門としている為です。
同じ薬局でもその働き方は大きく異なります。
私は外来を主にした薬局に勤める中で、施設在宅での薬物治療にもっと携わりたいと思っていました。
『環境のせいにするのは簡単だから、今出来ることをやろう』と自分に言い聞かせてきました。
外来を受けながら在宅や施設在宅ができなくはありませんが、今の職場を見た時、外来を受けながら訪問診療を専門とするクリニックからの依頼をメインとして取り組むのは薬局の根本を見直さなければ不可能だと感じました。
まず第一に、無菌調剤の為のクリーンベンチは必須です。
点滴の為の輸液調整、混注は無菌調剤が必要ですが、そもそも設備が無ければ対応できません。
地域連携薬局という新たな要件にも『すみやかに無菌調剤の為の設備を借りる事ができる体制』とありますが、その程度の頻度では在宅をメインとした輸液対応、ましてやターミナルケアへの対応は難しいでしょう。
在宅支援薬局では薬剤師は伝書鳩のようです。
午前中に処方薬を準備し、お昼前に1便、昼食を外で済ませて薬局に戻れば直ちに2便で出発。
多ければ、2便で薬局に戻ってから3便を出発し直帰することも少なくありません。
つまり、薬剤師は薬局にほとんどいません。
これまで私がいた薬局とは全く違います。
そもそも調剤(薬の準備)は(専門性を必要とするものを除いて)非薬剤師がほぼ全て行なっている為、調剤の為の薬剤師はパートや派遣であっても不要です。
今の職場に来たパート薬剤師には『この方のところに行ってきて下さい』『退院時カンファレンスに出て報告書をあげて下さい』となります。
『薬剤師の仕事が出来る』と嬉しくなった一方、今の環境に早く慣れてシステムやルールを把握しなければならないなと危機感も新たにしています。