薬剤師夫婦/夫です。
今日は爪白癬について。
水虫は真菌というカビの一種が主に足に感染する疾患です。
爪だけに感染し発症する事もあれば、足指の間や足裏に感染したものが爪に移行することで発症することも多くあります。
感染力はそれ程強くない為、お風呂の湯船を共有するくらいでは感染に至りませんが、バスマットが共有であったり、体を清潔に保てていなければ他人への感染リスクは高まります。
何故治療が必要になるかというと、放置する事で以下のリスクが高まります。
●足白癬の再発
●白癬の他人への感染
●かゆみなどによるQOLの低下
●蜂窩織炎の原因
●糖尿病足病変の原因
治療は外用薬或いは内服薬で行います。
軽症例含め、第一選択は内服薬です。
ただし、病型による分類上、SWO:表在性白色爪真菌症だけが第一選択として外用薬が推奨されますが、爪白癬全体での割合は10%程度で決して多くありません。
薬局薬剤師は患部を見ることは少なく、ましてや足爪を薬局で見ることはほぼありません。
仮に足爪を見せてもらえたとしても、それが真菌症なのか否かは皮膚科の専門医でも難しいとされ、必ず顕微鏡で確認(鏡検)することとされています。
薬局薬剤師ができることの一つとしては「先生に顕微鏡で見てもらいましたか?」「爪から生検(生体検査)してもらいましたか?」と患者さん或いは主治医に生検実施有無を確認することです。
また、外用薬が処方されている場合、その継続率が極端に低くなる為、「爪が生え変わるまでの6ヶ月〜1年はしっかり続けてください」と継続の必要性を伝える必要があります。。
1.5年〜2年、爪白癬の治療を継続して改善が見られなければ爪白癬ではない可能性があります。
医療経済的な費用対効果をみても、外用薬よりも内服薬の方が生活の質(QOL)を向上させるにも有用であることが分かっています。
2018年には新規の抗真菌薬内服薬が発売され、相互作用も従来の抗真菌薬ほどなく、薬価は安くありませんが、12週内服すれば薬物が爪にとどまり続ける=生え変わるまで外用薬を塗り続けるのと同じ事であり、治療による生活への支障も少なく済みます。(内服後8週おきに血液検査で肝機能フォローは必要。)
医療医薬品メーカーの不祥事で話題になった爪白癬治療薬ですが、患者さんにとって、その治療薬自体はとても大切で必要な薬です。
如何に必要な方に必要なだけ、適切な薬が適正に使用されるか。
さすがに先日の不祥事のように有効成分の齟齬に薬局薬剤師は気付きようがありませんが、安定供給含む安心安全な薬物治療、その一助を担うのが薬局薬剤師であることは間違いないので今日も薬の適正使用に努めます。