薬剤師夫婦/夫です。

薬剤師として「外来 → 在宅専門薬局 → 病院薬剤師」というキャリアを歩んできた立場から振り返ると、最も強く感じるのは外来薬局薬剤師における「情報の少なさ」である。外来業務は基本的に「患者からの聞き取り」と「処方箋の内容」に限定される。これだけの情報で果たして十分な服薬指導ができているのかと考えると、大きな疑問が残る。
在宅専門薬局に移った際、在宅クリニックのカルテを閲覧できるようになった。検査値や医師の所見、処方の背景に触れることができた時、外来との情報格差を痛感した。血液検査ひとつ取っても、外来では確認できないことが多く、検査結果を見ずに投薬する場面は少なくない。外来から在宅に移った当初、率直に「これは怖くて外来には戻れない」と思ったのは、その情報不足のリスクを理解したからである。
病院薬剤師はさらに一歩進んで、カルテを閲覧するだけでなく記録する権限も持ち、薬学的評価を担う。多職種チームの中で薬物療法の是非を議論できる点において、薬剤師の専門性を最も発揮できる環境であると言える。
こうした経験を踏まえると、薬剤師界隈で語られる「病院薬剤師を経てから外来薬局に行く方が合理的である」という意見は極めて真っ当である。病院経験を持つ薬剤師は、限られた情報しか得られない外来の現場でも「処方の背景」を想像し、必要に応じて医師に確認する視点を養っている。一方で外来からキャリアを始めると、情報不足に慣れてしまい、処方の背景に思いを巡らす習慣が身につきにくい。
もちろん外来薬局でも「かかりつけ薬剤師」や「地域連携薬局」を通じて情報共有を進める取り組みは進んでいる。しかし現状では病院や在宅と比較して情報アクセスに大きな制限があることは否めない。したがって、病院薬剤師を経験してから外来薬局に進むキャリアが合理的である、という見解には強い説得力があるのである。