2025-10-01から1ヶ月間の記事一覧
薬剤師夫婦/夫です。 骨粗鬆症治療薬のなかでも、ロモソズマブは特別な位置づけにある。 それは、生涯で12か月(=12回)までしか使用できないという明確な制限がある一方で、 **日本骨粗鬆症学会のガイドラインでも最も高い推奨(推奨度A)**を受けている…
薬剤師夫婦/夫です。 イフェンプロジルは、めまい・耳鳴り・頭部外傷後遺症などに広く用いられてきた脳循環改善薬である。一方で、代替薬としてニセルゴリンが検討される場面がある。しかし両薬剤は作用機序や適応の重心が異なるため、目的に即した選択が重…
薬剤師夫婦/夫です。 点滴にKCl(塩化カリウム)を混注した際、液が黄色く見えることがある。ビタミンB製剤を混ぜたように見えるため、「遮光が必要ではないか」と感じる人も多い。 しかし、この黄色はビタミンB₂(リボフラビン)による着色であり、光分解…
薬剤師夫婦/夫です。 AIが進化し、誰もが容易に専門的な情報へアクセスできる時代になった。非薬剤師であっても、一定の知識を身につけ、薬剤師と遜色のない受け答えをすることが可能である。こうした現実に、危機感や恐怖を覚える薬剤師がいるのも理解でき…
薬剤師夫婦/夫です。 電車に乗っていたとき、ある企業のサラリーマンと思しき50代の男性が目に留まった。 新入社員には高圧的に振る舞い、中堅社員には忖度を求め、さらに近くにいた女子中学生に気軽に声をかけていた。 その一連の言動には、年齢に見合わぬ…
薬剤師夫婦/夫です。 医療現場で「3点チェック」と聞けば、多くの人が“安全確認”を思い浮かべるだろう。 しかし、この3点チェックは施設や職種によって定義や実施方法が微妙に異なる。 その根底にある目的はただひとつ、医療安全を最優先に、患者に正確で安…
薬剤師夫婦/夫です。 大腸憩室炎は、腸内細菌の感染により生じる腹腔内感染症である。発熱や腹痛を伴い、重症化すると膿瘍形成や穿孔に至ることもある。その治療の基本は、腸内細菌(好気性菌)と嫌気性菌の双方をカバーする抗菌薬の投与である。 起炎菌の…
薬剤師夫婦/夫です。 疼痛管理において「NRS(Numerical Rating Scale)」は、患者自身の痛みを0から10の数値で表す指標である。では、NRS1という軽度の痛みを訴えたときでも、レスキュー(頓用)投与は行ってよいのだろうか。 NRSスコアの意味と一般的な対…
薬剤師夫婦/夫です。 秋冬にかけてインフルエンザワクチンの接種が始まる時期、帯状疱疹ワクチン(組換え)との同時接種について質問を受けることが増える。結論からいえば、インフルエンザワクチンと帯状疱疹ワクチン(組換え)は同時接種が可能であり、間…
薬剤師夫婦/夫です。 湿布薬には保険診療上の上限があり、厚生労働省の疑義解釈資料により「1処方につき63枚まで」と定められている。これは「1か月あたり」ではなく「1回の処方」に対する制限である。ただし実際の診療では、慢性疼痛患者の多くが月1回処方…
薬剤師夫婦/夫です。 胃酸と鉄吸収の関係 鉄の吸収、とくに植物性食品に含まれる非ヘム鉄の吸収には胃酸が欠かせない。 胃酸は鉄を可溶化させ、三価鉄(Fe³⁺)を吸収しやすい二価鉄(Fe²⁺)に還元する役割を持つ。 そのため、胃酸が不足すると鉄の吸収が低…
薬剤師夫婦/夫です。 はじめに 気管支喘息の標準治療は吸入ステロイド(ICS)を中心としたステップアップ治療である。しかし、高齢者や認知症患者、あるいは嚥下障害や手技の困難さを伴う患者では、吸入療法自体が実施できない場合がある。このような「吸入…
薬剤師夫婦/夫です。 中性脂肪(TG)が240mg/dLと依然として高値を示す症例において、治療選択肢として ロスバスタチン増量 と ペマフィブラート(パルモディア)追加 が議論される場面は少なくない。ここでは両者の妥当性を整理してみたい。 スタチン増量…
薬剤師夫婦/夫です。 薬剤師がカルテに記録する内容は「情報提供」という形をとりながらも、時に「指導」に近い側面を帯びる。薬学的な根拠をもとに処方の中止や変更を提案することは正当であっても、その伝え方次第で医師や他職種に「命令」や「批判」のよ…