薬剤師夫婦/夫です。
薬局への薬に関する問い合わせは患者からのものとは限らない。
医師や看護師、介護施設職員など医療従事者からの問い合わせもある。
経験上、その比率は薬剤師の働く場所によって違いがある。
調剤薬局では1:9 (医療従事者:患者)
在宅専門薬局なら4:6 (医療従事者:患者)
病院は9:1 (医療従事者:患者)
より薬学的な知識を必要とするのは勿論医療従事者からの問い合わせである。
(従って薬剤師は病院での経験は必須だと個人的には思う。)
薬学的な知識とは、添付文書(医薬品の説明書)に書いてある事をそのまま伝える事ではない。
医療従事者でも特に、医師や看護師が添付文書に書いてある事をわざわざ問い合わせてくる事は殆どない。
そこに書いてない、ググっても(google検索)答えがはっきりしないこと。
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例えば、
テネリグリプチンとシタグリプチンの違いと今のCCrとHbA1cから各々の妥当な投与量。
ラシックスを混注(輸液に混ぜる)しても良いか。ダメなら何故ダメなのか。
アセリオを側管(投与ルートと途中)からいってもいいか。(血管が出にくい)
sBPが連日80を下回り60になる事もあるがサクビトリル・バルサルタンは継続していて問題ないか。(看護師より)
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医師からは同効薬との違いや代替案。
看護師からは施行方法や配合変化。
このような問い合わせが多い気がする。
極端に言えば、「添付文書には〇〇と書いてあるが、△△でも良いか。」
と言ったら類いの、添付文書外の薬学的観点から一薬剤師としての意見が求められている。
最後の問い合わせには、以下のように返答した。
ーーー心不全患者の低血圧に対するARNIの継続は意見が分かれる。
〇〇以下は中止等単純ではない。
外科医(特に脳外)なら患者が高齢の場合中止する事が多い。
専門医の中でも意見が分かれるので、念の為と断った上で継続可否を確認する事。ーーー
まぁ心不全が良くなっても脳梗塞になったり、他の臓器の疾患が増悪したら意味がない。
意味がないとは、どの疾患が生命予後を決定付ける(死期を決める)かの判断はその専門によるところもあると言う事。
薬剤師は薬学的観点から多角的に病態を見るので、治療方針の妨げとならない(看護師に伝える情報も一歩間違うと治療の妨げになりかねない)ように注意しながら、主治医(専門医)の意向を尊重(ある程度治療方針を理解)して必要な情報を提供する。
看護師も看護の観点から患者をみるので、薬学的な意見を取り入れる事で、医師もより多角的な視点で治療方針を決定することができる。
このように薬剤師は色々考えながら情報提供している。
調剤薬局で袋詰めだけしてる(ように見える?)のが薬剤師ではないってことだけでも頭の片隅に置いておいてもらえるととても有難い。