薬剤師夫婦/夫です。

経口困難事例は日常的に遭遇する
臨床現場では「痛みがあるが内服できない」という状況に頻繁に遭遇します。高齢者、術後、嚥下障害、せん妄など、経口困難事例は決して特殊ではありません。このような場面で重要なのは、「注射にすればよい」という短絡的な判断を避け、患者背景に合った最も安全な投与経路を選択することです。
鎮痛薬選択の基本は By mouth
鎮痛薬選択の考え方として有名なのが、WHOが提唱したオピオイド選択の5原則です。その中でも特に重要なのが「By mouth(経口を最優先)」という原則です。経口投与は安全性・簡便性・コストの面で優れており、可能であればアセトアミノフェンやNSAIDsの内服が基本となります。
経口困難時に注射が最適とは限らない
経口が困難な場合、注射薬が選択されがちですが、ここには注意が必要です。経口困難事例では脱水、腎機能低下、循環血液量減少を伴うことが多く、NSAIDs注射は腎障害や出血リスクを高めやすいという側面があります。「注射=安全・強力」という認識は、必ずしも正しくありません。
アセトアミノフェン静注は第一選択
全身性の疼痛に対しては、アセトアミノフェン静注が有用です。腎血流への影響が少なく、慢性腎臓病や高齢者、脱水傾向の患者でも比較的安全に使用できます。経口困難事例における鎮痛では、まず検討すべき選択肢です。
局所疼痛には By mouse
疼痛が局所に限局している場合には、エスフルルビプロフェン貼付剤やジクロフェナク貼付剤といったNSAIDs貼付剤が非常に適しています。全身曝露を抑えつつ鎮痛効果が得られるため、経口困難かつ高リスク患者との相性は良好です。ただし、多部位貼付や長期連用では腎障害リスクがゼロではないため、注意が必要です。
まとめ
経口困難事例では、より慎重な鎮痛薬選択が求められます。注射に頼るのではなく、アセトアミノフェン静注やNSAIDs貼付剤といった選択肢を適切に使い分けることが、安全で質の高い疼痛管理につながります。By mouth の視点は、薬剤師にとって非常に有用な整理方法です。
