薬剤師夫婦の日常

子供のことや薬の話

乳酸カルシウムの継続意義を再考する ──骨粗鬆症治療における“カルシウム補給薬”の本当の役割**

薬剤師夫婦/夫です。

 

 

 

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はじめに

 

 

 

乳酸カルシウムは外来で長期間処方されていることが多い。しかし、その本質はカルシウム補給薬であり、骨密度改善や骨折予防といった骨粗鬆症治療効果をもつわけではない。この誤解こそ、入院時に見直しが必要となる理由である。

 

 

 

 

 

 

乳酸カルシウムは“治療薬”ではなく“補給薬”である

 

 

 

乳酸カルシウムの役割は、食事からのカルシウム摂取が不足する場合の補助にとどまる。

一方、骨粗鬆症治療の中心となるのは次の薬剤である。

 

 

  • 活性型ビタミンD
  • ビスホスホネート
  • デノスマブ
  • SERM
  • 骨形成促進薬

 

 


これらは骨代謝に直接作用し、骨折リスクを低減する確かなエビデンスを持つ。

つまり、治療の本体は骨代謝調整薬であり、乳酸カルシウムではない。

 

 

 

 

 

 

入院時に「漫然継続」しやすい理由

 

 

 

乳酸カルシウムは副作用が少ないため、外来で続いていた薬がそのまま入院後も継続されることが多い。しかし、以下の理由から必ずしも安全とは言えない。

 

腎機能低下や脱水で高Ca血症のリスクが上昇

 

 

 

排泄能力が下がると、Ca補給薬はむしろリスクとなる。

 

 

 

活性型ビタミンD併用で吸収効率が増大

 

 

 

ビタミンDが腸管吸収を増強するため、Ca補給薬の必要性は低下する。

 

 

 

食事・栄養管理が院内で可能

 

 

 

入院中はCa補給が食事・輸液で調整されやすい。

 

 

 

 

 

 

継続意義があるケースは“例外的”である

 

 

 

乳酸カルシウムを継続すべき状況は限られる。

 

 

  • 明確な低Ca血症がある場合
  • 栄養摂取が著しく不足し、医師がCa補給を意図した場合
  • 他に補正手段が乏しい場合

 

 


これらは少数派であり、多くのケースでは中止または必要最小限の補正で十分である。

 

 

 

 

 

 

薬剤数を減らすことも医療の質である

 

 

 

「害が少ない薬」は「必要な薬」を意味しない。

治療目的が曖昧な薬剤を整理することは、ポリファーマシー対策の要である。乳酸カルシウムはまさにその代表であり、目的を明確にできなければ中止を検討すべき薬剤である。

 

 

 

 

 

 

まとめ

 

 

 

乳酸カルシウムは骨粗鬆症治療の中心ではなく、栄養補給的な位置にすぎない。

入院時や病態変化時には、本当にカルシウム補給が必要かという原点に立ち返り、漫然継続を避けることが重要である。

適切な見直しこそ、患者にとって最善の薬物治療につながる。

 

 

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