薬剤師夫婦/夫です。

SGLT2阻害薬、とりわけダパグリフロジンに関する研修を視聴する中で、強い違和感を覚えた。
「カルテが見れないので」「薬歴を遡る」「患者からキーワード(KW)を聞き出す」といった発言が繰り返されたからである。
結論から言えば、医師が診断することと、薬剤師が適応症を“推察”することは、医療的に全く意味が異なる。
適応症は“推察”するものではない
ダパグリフロジンの適応は、
- 2型糖尿病
- 慢性心不全
- 慢性腎臓病
と明確に定義されている。
どの適応で処方されているかという「答え」は、患者の発言や薬歴の文脈ではなく、カルテに明確に記載されている情報である。
薬剤師が行うべきなのは、
「おそらく心不全だろう」「糖尿病歴があるから多分こちらだろう」
といった推察ではない。
確認である。
確認の結果、違っていれば疑義照会
適応症をカルテで確認し、
- 用量が適切か
- 腎機能に合致しているか
- 適応外使用になっていないか
を評価する。
もし齟齬があれば、その時点で疑義照会を行う。
これは極めてシンプルで、かつ専門職として当然の行為である。
「カルテが見れない」は言い訳である
確かに、保険薬局ではカルテへの直接アクセスが制限されているケースは多い。
しかし、それは構造上の問題であって、専門性を下げてよい理由にはならない。
必要であれば、
- 処方医へ直接確認する
- 医療機関と情報共有の仕組みを構築する
これが、本来進むべき方向である。
カルテを確認せずに「推察」で済ませることを正当化した瞬間、
薬剤師の役割は安全管理の担保者から説明係へと後退する。
薬剤師の専門性は「答えを当てること」ではない
薬剤師の専門性とは、診断を行うことではない。
しかし同時に、診断結果を正確に把握した上で薬学的判断を行うことである。
推察ではなく確認。
憶測ではなく事実。
その積み重ねこそが、医療チームの中で薬剤師が信頼される唯一の道である。
