薬剤師夫婦の日常

子供のことや薬の話

【ジェネリック】後発品使用推進に思うこと

薬剤師夫婦/夫です。

 

今日はジェネリック医薬品について。

 

ジェネリック医薬品とは、薬価収載された先発医薬品(新薬)の特許が切れて、他社が同一有効成分を安価で製造販売したものです。

 

一昔前までは『ゾロ品』(後からゾロゾロ販売される為)などと揶揄され、良い印象を持たない医師が多かったのですが、今では医療費の拡大に伴い、子ども/孫世代への負担が現実的になってきた為、治療に影響がないと判断される範囲で柔軟に対応する医師が増えてきました。

 

薬剤師の役目は『医薬品の安定供給、適正使用』が教科書的なところ。

 

現実的なところで言うと『医療費の削減』にあると考えます。

 

「残薬調整」がその主だったもので、高齢者の自宅を訪問すると大量の飲めていない「飲み残しの」薬があるにも関わらず、主治医からの定期処方は定期受診の度に止まっていない状態を解消します。

 

「ジェネリックの使用」は医療費削減に繋がるとされ、薬剤師(特に薬局の)は理論上同じ治療効果を、安価で提供できるジェネリック医薬品による薬物治療を推進します。

 

海外でのジェネリック医薬品使用率は90%以上であり、国民皆保険の本邦はまだまだ80%を目指す段階です。

 

引き続きジェネリックを推進する中で、ジェネリックメーカーをよる品質や対応に差があるのも事実で、「詳しくは先発メーカーへ」などと自社の製品に責任を持てない会社も少なくありません。

 

そこで現在では、先発メーカーの特別な許可を得て製造販売されるジェネリック、『オーソライズドジェネリック(AG)』がその魅力を発揮しています。

 

原薬や添加物が異なる一般のジェネリックとは異なり、多くの点で先発と同一のオーソライズドジェネリックにも種類がありますが、ジェネリック医薬品が必要とする『生物学的同等性試験』をもはや必要としないAGは【AG1】とされ、製品名以外全く同じと言って差し支えないレベルで同一です。

 

それでいて薬価は先発医薬品の半分となれば、知識のある人に正しく説明すれば先発志向の方でもオーソライズドジェネリックAG希望となるわけです。

 

残念ながら、全ての医薬品にAGがあるわけではないので、この説明で国の医療費削減にどの程度貢献できるか疑問ではありますが、何でも小さなことからコツコツと取り組むことが大切だと思います。(言い聞かせる)

 

ただし、取り分け湿布などの外用薬は基剤(有効成分を溶かしている土台)の違いによる使用感の違いから効き目に違いが出てしまう可能性がある為、治療への影響を慎重に判断しなければなりません。

 

プラセボ(偽薬効果)との有意差(科学的な客観性を持って立証できる有効性)がデータとして出たものが医薬品として使用されているわけで、プラセボを無視しているわけではありません。

 

ジェネリックの使用が医療費削減に繋がると「されている」と言ったのは、先発志向の方がジェネリックに変更し、様々な理由で再度先発に戻った場合、余計に医療費が嵩むことがあり、このことも医療費削減の観点から無視できません。

 

思い込みやバイアスを考慮して個々にあった薬物治療をすすめることも薬剤師の役目だと日々意識して仕事に取り組んでいます。