薬剤師夫婦/夫です。
今日は腎臓について。
腎臓は人間の体の中の老廃物をろ過し、必要なものは再吸収、不必要なものは排泄し人間の恒常性を保つのに不可欠な働きをしています。
もし腎臓の働きが悪ければ、老廃物が長時間各臓器を循環し致命的なダメージを負わせかねません。
薬に関していうと、薬物は人間の体の中に入り、効果を発揮し、消失するまでに4つの段階があります。
消化→吸収→代謝→排泄
いわゆるADME(アドメ)と言われるものです。
薬物が期待する効果を発揮する為には、どこの段階に問題があってもいけません。
薬剤師は常にその人の年齢や体調、既往歴などからADMEに問題ないことを判断して服薬指導を行なっています。
その判断の肝となるのが肝臓と腎臓です。
薬物は主に肝代謝、腎排泄の何れかによって消失します。
どちらも血液検査でその機能検査は可能です。
腎臓の働き具合でその用量が決められる薬が沢山あります。
例えばレボフロキサシンと言う薬物。
抗生物質ですが、腎臓の機能が落ちている場合(大半はお年寄り)投与初日は1回500mg、2日目以降250mgを連続投与することになっています。
なぜ通常は500mgを連続投与する薬をそうするのではなくこのような投与方法なのか。
抗生物質には耐性菌のリスクが付き纏います。
耐性菌の発生は予後への影響、多剤耐性菌の発生による治療困難に繋がりかねません。
レボフロキサシンのこのような投与は腎機能の低下している人の場合、排泄機能が落ちていることで血中濃度推移が通常よりも長くなってしまうからです。
長くなるなら良いじゃんと考える人もいるかもしれません。
ただし、抗生物質の場合はPK/PD理論に基づく、その薬物に最適な抗菌スペクトルや血中濃度推移がある為それに則ることが薬物治療では必須となっています。
レボフロキサシンはその理論に基づけば、血中濃度を初期に一気に上げて以降は速やかに排泄させることが最もよいとされています。
従って通常よりも少ない量で継続し排泄を速やかにする事が腎機能低下患者には必要とされています。
その他の薬物にも別の理由で、用量を少なくする事が多々あります。
どのくらい減量するのかは血液検査による腎機能の低下度合いによるので、一概に腎臓が悪いからこれだけ減量するとは言えません。
年齢を重ねると腎臓の機能は自ずと低下しいく為、高齢の方は特に、血液検査を実施した上で薬物治療を開始されることをお勧めします。