薬剤師夫婦/夫です。

はじめに
薬局業務の中で「在宅訪問指導」を担う場面は増えてきている。制度的には介護保険の「居宅療養管理指導」と医療保険の「在宅患者訪問薬剤管理指導」があるが、実際の現場では介護保険の方が算定されやすく、医療保険は敬遠される傾向が強い。本記事ではその背景と、正当に算定するための考え方を整理する。
介護保険と医療保険の違い
居宅療養管理指導(介護保険)
ケアマネージャーを通じて居宅サービス計画に位置付けられた上で行う。算定要件が明確であり、薬局にとって導入しやすい。
在宅患者訪問薬剤管理指導(医療保険)
要介護認定を受けていない患者や末期がん患者などが対象となる。医師の明確な指示に基づき、報告書の作成や契約書の締結などが必須となる。
制度上はいずれも「薬剤師が患者宅や施設を訪問して服薬管理や指導を行う」点で共通しているが、運用難易度には差がある。
外来メイン薬局が医療保険を算定しにくい理由
対象患者が少ない
外来を中心に業務を行っている薬局では、在宅医療を受ける患者自体が少ない。
医師との連携不足
医療保険算定には「医師の指示」が必須であり、処方箋への記載や指示書が曖昧だと算定を躊躇する。
査定リスクへの過敏反応
個別指導や返戻の可能性を恐れるあまり、正当に算定できるケースでも見送ってしまう傾向がある。
正当に算定できる条件
医療保険であっても、以下を満たせば算定は正当である。
患者・家族から同意を得ている
医師から在宅訪問指導の明確な指示がある(処方箋や文書に記載)
報告書を作成し、医師へ提出している
契約書や訪問記録を保管している
これらの条件が整っていれば、薬局が外来中心であるかどうかは本質的な問題ではない。
算定を避けることのデメリット
患者にとって必要な薬学的管理が評価されない
薬局の収益機会を失う
在宅医療に関わる薬剤師の役割が狭められる
「やることをやっているのに算定しない」というのは、患者にも薬局にもマイナスである。
まとめ
外来メイン薬局では医療保険の在宅患者訪問薬剤管理指導が算定しにくいと感じられるのは事実である。しかし、必要な契約・同意・記録を揃えて実施すれば、算定は正当であり制度上も認められている。むしろ過度な萎縮によって算定を避けることの方が問題であり、薬剤師が在宅医療に積極的に関わる機会を減らしてしまう。
薬局は「やるべきことをやっているなら、堂々と算定する」姿勢を持つべきである。