薬剤師夫婦の日常

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「剤数」は薬の数ではない?酸化マグネシウムの服用変更で負担金が減る仕組み

 

薬剤師夫婦/夫です。

 

 

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処方内容を見直す際、単に薬を減らすかどうかではなく、「剤数」がどうなるかを考えることで、患者負担の軽減につながる場合がある。

今回は、酸化マグネシウムの用法を変更しただけで調剤報酬が下がり、自己負担額も軽減されたケースを紹介する。

 

 

 

 

 

 

処方内容の見直し前後

 

 

 

変更前の処方では、A薬が朝1回、B薬が朝・夕の1日2回、酸化マグネシウム(330mg)が毎食後、つまり1日3回処方されていた。この3つの薬は、用法(服用時点)がそれぞれ異なるため、調剤報酬上は3剤として算定される。

 


一方、変更後の処方では、酸化マグネシウムを500mgに変更したうえで朝・夕の1日2回に減らし、B薬と同じ服用時点に合わせた。A薬は朝1回のままである。すると、用法ベースではA薬が1剤、B薬と酸化マグネシウムが同じ朝夕服用なので1剤にまとめられ、合計2剤となる。

 

 

 

 

 

 

調剤報酬と自己負担の変化

 

 

 

この変更によって調剤報酬上の点数は次のように変化する。

 


まず、調剤料は1剤あたり24点であるため、変更前(3剤)は72点、変更後(2剤)は48点となり、24点の減少となる。

 


次に、調剤管理料(正式には調剤管理料:薬歴記録・管理)は1剤あたり60点(29日以上の処方の場合)であるため、変更前は180点(3剤分)、変更後は120点(2剤分)となり、60点の減少となる。

 


これらを合わせると、技術料の総点数は変更前252点から、変更後168点へと84点減少する。1点10円換算・3割負担の場合、患者の自己負担額は約252円軽減されることになる。

 


なお、酸化マグネシウムは500mg錠のほうが330mg錠よりも薬価がやや高いため、薬剤料は若干増えるが、それを加味しても全体では自己負担が下がる。

 

 

 

 

 

 

ポイントは「服用時点の一致」

 

 

 

調剤報酬における「剤数」は、薬の種類ではなく服用時点(用法)ごとにカウントされる。

同じ時間に飲む薬は、成分や形が異なっていても用法が一致していれば1剤にまとめて算定される。

 


今回のように、酸化マグネシウムの服用時点を他の薬と合わせることで、剤数が減り、調剤料・調剤管理料が下がる結果、患者負担も軽減されるという仕組みである。

 

 

 

 

 

 

結論:ただ「薬を減らす」だけではない賢い処方見直し

 

 

 

酸化マグネシウムの錠数は減り、1日の服用回数も減る
それにより、服薬のしやすさ(アドヒアランス)が向上
同時に、調剤報酬上の剤数も減り、調剤料・管理料が下がる
結果として、自己負担額も減少する

 

 


薬の中身や量だけでなく、「服用時点の調整」という視点をもつことが、患者にも医療費にもやさしい処方設計につながる。