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ユリス®(ドチヌラド)の有用性と適正使用法

 

薬剤師夫婦/夫です。

 

 

 

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1. ユリス®️の特徴

 

 

 

ユリス®(一般名:ドチヌラド)は、日本で開発された新しい尿酸降下薬で、主に尿酸排泄低下型や混合型の高尿酸血症に用いられます。腎臓における尿酸再吸収トランスポーターURAT1を高選択的に阻害し、尿酸を効率的に排泄させるのが特徴。既存の排泄促進薬であるベンズブロマロンに比べ、肝障害リスクを低減するよう設計されておる。

 

 

 

 

 

 

2. ガイドラインでの位置付け

 

 

 

日本痛風・核酸代謝学会の「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版」では、尿酸排泄低下型や混合型の高尿酸血症に対する有効な選択肢の一つとして記載されています。第一選択は患者の病型や合併症、リスクに応じて決定される。

目標尿酸値は、痛風患者では6.0mg/dL未満、無症候性高尿酸血症では7.0mg/dL未満が推奨される。

 

 

 

 

 

 

3. ベンズブロマロン(ユリノーム®️)との安全性の違い

 

 

 

ベンズブロマロンは強力な尿酸降下作用を持つ一方で、まれに劇症肝炎や急性肝不全など重篤な肝障害を起こすことが報告されている。発症時期は服用開始後数週間から数か月以内が多く、予後は不良な場合もある。機序は完全には解明されてないが、代謝過程で生じる毒性代謝産物や免疫介在性反応が関与すると考えられている。

 


これに対して、ユリスは高選択的なURAT1阻害薬で、肝代謝においてCYP経路をほとんど利用しない。そのため、ベンズブロマロンに比べて重篤肝障害リスクは理論的に低いとされる。市販後数年が経過しているが、現時点で劇症肝炎の報告は極めて少ない。

 

 

 

 

 

 

4. ユリスの規格と適正用量

 

 

 

ユリスには0.5mg、1mg、2mg、4mgの4種類の規格がある。通常は0.5mgから開始し、2〜4週間ごとに尿酸値を確認しながら徐々に増量する。一般的な維持量は2mg/日で、最大4mg/日まで使用可能。

投与量は、血清尿酸値、副作用リスク、腎機能、尿路結石の既往などを考慮して決定する。

 

 

 

 

 

 

5. 用量設定のポイント

 

 

 

  • 初期量は0.5mg 1日1回朝食後から始める。
  • 2〜4週間ごとに尿酸値を測定し、0.5mg→1mg→2mgと漸増。
  • 最大4mg/日まで増量可能だが、急激な尿酸低下は痛風発作や尿路結石リスクを高めるため、1か月に0.5〜1.0mg/dL程度の緩やかな低下を目安とする。
  • eGFR 30未満の患者には原則禁忌。
  • 導入初期は痛風発作予防薬(NSAIDsやコルヒチン)の併用を推奨。
  • 尿路結石予防のために十分な水分摂取と尿アルカリ化を考慮。

 

 

 

 

 

 

 

6. まとめ

 

 

 

ユリスは、ベンズブロマロンと同様に尿酸排泄を促進する薬だが、肝障害リスクを低減するように設計された新しい薬剤。特に肝機能異常リスクが高い患者や、既存薬で副作用が出た患者において有用。ただし、尿路結石リスクや腎機能制限は共通して存在するため、定期的な検査と患者指導が欠かせない。

 

 

 

 


参考文献:

 


日本痛風・核酸代謝学会編「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版」(2022)
ユリス®錠 添付文書(2025年改訂版)
Hosoya T, et al. Clin Exp Nephrol. 2020;24(1):56-63
Day RO, Graham GG. Semin Arthritis Rheum. 2011;41(3):425-436