薬剤師夫婦/夫です。

はじめに
テオドール®(一般名:テオフィリン)は、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対して使用される古典的な気管支拡張薬である。長年にわたり臨床で使用されてきたが、その薬理作用には中枢神経刺激作用が含まれるため、精神症状を呈することがある。本記事では、テオフィリンによる精神症状の特徴と臨床上の注意点について整理する。
精神症状の種類
テオドール®により引き起こされる精神症状には以下が含まれる。
- 不眠
- 焦燥感・不安
- 易刺激性(イライラ)
- 頭痛やめまい
- せん妄・幻覚(高用量や中毒域で特に出現)
- けいれん(重度中毒時)
軽度の不眠や不安は有効血中濃度内でも出現し得るが、幻覚やけいれんといった重篤な症状は血中濃度が中毒域に達したサインである。
発現の背景
テオフィリンはカフェインと同じキサンチン誘導体であり、中枢神経系を刺激する。通常は呼吸中枢刺激や横隔膜収縮力増強作用が有効に働くが、過剰な刺激により精神症状が生じる。
特に以下の条件でリスクが高まる。
- 高齢者
- 肝機能障害
- 併用薬(シプロフロキサシン、クラリスロマイシンなどCYP阻害薬)
- 脱水や発熱による代謝変動
血中濃度との関係
テオフィリンの有効血中濃度は10–20 µg/mLとされている。
- 10–20 µg/mL:不眠、不安、頭痛などが出現し得る
- 20 µg/mL以上:悪心、嘔吐、せん妄、幻覚、けいれんのリスクが高まる
- 30 µg/mL以上:重篤なけいれんや不整脈に至ることがある
このため、血中濃度モニタリングは必須であり、特に高齢者では低用量でも副作用が出やすいため注意が必要である。
まとめ
テオドール®(テオフィリン)は有効な気管支拡張薬である一方、中枢神経刺激作用による精神症状を引き起こす可能性がある。不眠や不安といった軽度の症状から、せん妄・幻覚・けいれんといった重篤な症状まで幅広く認められるため、投与時には血中濃度の確認と副作用の観察が不可欠である。
