薬剤師夫婦の日常

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【睡眠】ラメルテオンとオレキシン受容体拮抗薬の併用は理にかなっている?

 

薬剤師夫婦/夫です。

 

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不眠症治療において、薬物療法は単剤での効果が不十分な場合に複数薬剤を組み合わせることがある。その中でも、ラメルテオン(商品名:ロゼレム®️)とオレキシン受容体拮抗薬(スボレキサント、レンボレキサント)との併用は、作用機序の補完性から注目されている。この記事では、この併用がなぜ理にかなっているのか、実臨床での適切な使い方を含めて考察する。

 

 

 

ラメルテオン:体内時計を整える薬

 

ラメルテオンはメラトニン受容体作動薬であり、主に概日リズムの調整を目的として用いられる。メラトニンは通常20時〜22時ごろに内因性分泌が始まるため、ラメルテオンの服用は夕食後~就寝1〜2時間前が望ましいとされる。特に入眠困難が主訴の場合、リズムの先行調整としてこのタイミングでの内服は理にかなっている。※適応は『就寝前』

 

 

 

オレキシン受容体拮抗薬:覚醒を抑える薬

 

スボレキサント(ベルソムラ®️)やレンボレキサント(デエビゴ®️)は、オレキシンという覚醒維持神経をブロックすることで睡眠を導入・維持する薬である。これらは睡眠維持効果に優れる一方、入眠までの即効性という面では個人差がある。一般に、眠気が出始めたタイミングでの服用が効果的であり、寝床で内服することが理想とされる。※スボレキサントの適応は『就寝直前』

 

 

 

併用の理論的な妥当性

 

ラメルテオンとオレキシン受容体拮抗薬は、異なる睡眠のフェーズに作用する。前者は「眠くなる準備」を整え、後者は「眠気を邪魔する覚醒系を抑える」役割を持つ。そのため、併用は補完的であり、特に入眠困難と中途覚醒を併せ持つケースに有効であると考えられる。

 


また、この併用スケジュールは、認知行動療法(CBT-I)の中核である**「刺激制御療法」**の考え方とも合致している。つまり、「眠くなったら布団に入る」「寝床では眠る以外の行動を避ける」といった習慣づけと薬のタイミングが一致しており、行動療法的にも優れている。

 

 

 

最適なスケジュールとは?

 

現時点での推奨としては、以下のような運用が理想的と考えられる。

 


夕食後にラメルテオンを内服(リズムの調整)
眠気が出てから寝室でレンボレキサントを内服(覚醒抑制)

 

 


このようにすれば、自然な睡眠の流れに沿った作用を薬剤でサポートする形となる。

※主治医の指示通りの用法が優先

 

 

 

注意点

 

依存性の観点からもこの併用は安全性が高い。両薬剤とも依存形成リスクは極めて低く、特にラメルテオンは報酬系に作用しないため、離脱症状もほとんどないとされる。ただし、薬物相互作用(特にCYP3A阻害薬との併用は禁忌)や漫然とした長期使用には注意が必要である。ある程度リズムが整った後は、片方の減量・中止を検討すべきである。

 

 

 

 

 

 

まとめ

 

ラメルテオンとオレキシン受容体拮抗薬の併用は、作用機序が補完的であり、不眠症の多面的な症状に対応可能な戦略である。服用タイミングを工夫することで、より自然な眠りを導くことができ、認知行動療法の理念とも一致する。

単なる薬の追加ではなく、「どう作用させるか」に焦点を当てることが、不眠症治療の質を高める鍵である。

 

 

 

おまけ


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アリナミンEXプラスを続けることで、肌荒れや吹出物の改善を実感している。含まれるビタミンB1誘導体は皮膚代謝を助け、ビタミンB6は皮脂分泌の調整と抗炎症作用で肌荒れを防ぐ。ビタミンEの抗酸化作用は肌細胞を保護し、肌の調子を整える。長年の使用から、安全性の高さを実感しており、肌の健康維持に役立つと感じている。