薬剤師夫婦/夫です。

先日、知人が「口に白い水ぶくれができた」と皮膚科を受診したところ、医師から「羽隠しじゃないか」と言われたという。
口唇ヘルペスを疑っての受診だったが、まさかの虫が原因との診断に驚いた。
この「羽隠し」とは一体何なのか。医学的な観点から考察していく。
羽隠しとは何か?
「羽隠し」は俗称で、正式な医学用語ではない。しかし、特に西日本を中心に皮膚科の現場では、「アオバアリガタハネカクシ」という昆虫による皮膚炎をこう呼ぶことがある。
ハネカクシは一見すると地味な虫で、細長い体を持ち、黒とオレンジのまだら模様をしている。体長は2〜7mm程度と小さく、夜間に光に引き寄せられて室内に侵入することがある。
刺されたわけではない
ハネカクシの体内には「ペデリン」という毒素が含まれている。この毒素が皮膚に付着すると、赤みやヒリヒリした痛み、さらには水疱やびらんを引き起こす。重要なのは、この虫は刺したり噛んだりするわけではないということだ。
多くの場合、虫が皮膚にとまっているのに気づかず、手ではらったり、寝返りで潰してしまったりすることで体液が皮膚に付着し、炎症を引き起こす。
口唇ヘルペスとの違い
ハネカクシによる皮膚炎は、見た目が単純ヘルペスウイルスの感染による口唇ヘルペスとよく似ている。水疱ができ、ヒリヒリするという点では共通しているが、原因も治療も異なる。
ハネカクシによる皮膚炎と口唇ヘルペスは、水疱を形成するという点で似ており、患者自身が判断するのは難しい。しかし両者にはいくつか明確な違いがある。
まず、原因が異なる。ハネカクシによる皮膚炎は、虫の体液に含まれるペデリンという毒素が皮膚に付着することで発症するのに対し、口唇ヘルペスは単純ヘルペスウイルスというウイルス感染によって起こる。つまり、前者は感染性がなく、後者は他者にうつる可能性がある。
また、水疱の出方にも違いがある。ハネカクシ皮膚炎では、虫が潰れた位置に沿って線状や不規則な形で水疱が生じやすい。一方、口唇ヘルペスは同じ場所に繰り返し発症しやすく、境界が比較的はっきりした水疱が集まってできるのが特徴である。
治療法も異なる。ハネカクシによる皮膚炎は、炎症を抑えるためのステロイド外用剤や抗菌薬の塗布が主となるが、口唇ヘルペスでは**抗ウイルス薬(アシクロビル等)**の投与が効果的である。
このように、見た目は似ていても原因や対処法が異なるため、適切な診断と治療のためには医療機関の受診が重要だ。
治療と予後
ハネカクシによる皮膚炎は、多くの場合自然治癒する。症状が軽ければ1週間程度で治るが、かゆみや痛みが強い場合にはステロイド外用剤や抗菌薬軟膏が処方されることもある。
自己判断で潰したり、抗ウイルス薬を使用したりするのは避けたい。症状に気づいたら、早めに皮膚科を受診するのがよい。
まとめ:見慣れない虫に要注意
「羽隠し(ハネカクシ)」は、飛んできた虫を無意識に潰してしまったことで発症する皮膚炎であり、感染症ではない。だが、見た目が口唇ヘルペスに酷似しているため、誤解されやすい。
これからの季節、夜間に窓を開けていると虫の侵入が増える。小さな虫に注意を払い、皮膚や唇に突然の水疱ができた場合は、虫との接触を思い出してみると診断の助けになるかもしれない。
おまけ
皮膚科の門前薬局に勤務していた当時、美容医療にも力を入れているクリニックの方針を受け、ラロッシュポゼ製品の取り扱いがあった。薬局としてもOTCや化粧品の販売を開始し、異常が見られた際は受診を促す体制を整えることで、患者との信頼関係の構築に努めた。
また、医療機関との住み分けを意識し、薬局ではNOV(ノブ)製品を取り扱うことに。実際に自身でも使用してみた結果、多様な肌質に対応したラインナップと、医薬部外品ならではの安心感から高い満足感を得ることができた。中でも「アクネソープ」と「日焼け止め」は効果・使用感ともに非常に優れており、現在でも愛用している。
敏感肌・ニキビ肌の方にとって、信頼できるスキンケアは欠かせない。そう実感したからこそ、自信を持っておすすめできる製品である。
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