薬剤師夫婦の日常

子供のことや薬の話

【医療従事者】何の為にはたらくのか

 

薬剤師夫婦/夫です。

 

先日は大切な報告がありました。

 

悩みはしましたが、結論はすぐに出ていたので悔いはありません。

 

むしろ環境を変えるきっかけをくれた妻とお腹の子に感謝です。

 

正直、『終身雇用の時代ではない』『薬剤師は資格職だから仕事には困らない』などの声も耳にはしていましたが、私の場合はどちらも真に受けていませんでした。

 

子供ができたことをきっかけに考えたのは、『死ぬ時になんと言って死にたいか』その為にどのように行動すべきかです。

 

薬局業界は保険調剤を主な収益としており、薬剤師の技術料に対する対価は患者負担の1〜3割と税金から支払われます。

 

これは他の業界からすれば『収益が安定している』ということになります。

 

景気の影響は受けにくく、健康に関わることは優先順位が高い為、有事の際も一定の保証があります。

 

定期の診療調剤報酬改定に合わせて、国のビジョンに沿った仕事をしていれば大きくは転けないのです。

 

私はそんな業界の真ん中で、医療従事者として、働いてきましたが、ふと『既得権益』について考えることがありました。

 

私の中での定義は、『今の立場を守る為に、実際には他人の役に立ってないにもかかわらず利益を得ること』(ネガティブ)です。

 

薬局業界が既得権益で成り立ってるということでは決してありません。

 

ただ、高齢化が後押しとなった薬局バブルで爆発的に増えた調剤薬局が今では吸収合併の嵐です。

 

もう調剤薬局の数は足りており(薬剤師数も)、後は質の問題だと言うことが言われています。

 

新規出店で利益を上げてきた調剤薬局は方針転換を余儀なくされています。

 

これは単に国の方針=ビジョンに則ったことだから当然のことです。

 

『自分の能力を活かして自分自身が心から人の役に立っていると思える事を仕事にする』と決めた時、薬局業界と薬剤師を切り離して考えた方が良いと考えるようになりました。

 

今の生活を守る事は大切ですが、自分を守ることばかりしていては他人の為に働く(=医療従事者)事はできません。(自分で事業を起こしていないので綺麗事であることは承知の上で)

 

医療従事者は、他人よりも努力をして時間をかけてきた結果(もちろん元々の能力が優れている事も含めて)、優秀で人ができない事ができるから尊敬される人だと思っています。

 

医療従事者の端くれである私も今回のワクチンの優先接種に該当し、実際に6月には接種を終えました。

 

医療従事者の優先接種予診表が届いた時、『もっと最前線で働く医療従事者と同等でいいのか』『他の医療従事者に対して薬局も日本の医療を支えていると胸を張って言えるか』『この事態に薬局は何をすべきか』など色々な考えが頭を巡りました。

 

それはつまり、薬局業界が患者の利益になっている思えなかったのです。

 

実際、ここ1年間受診頻度は減り、患者数が減った結果、院外処方箋発行枚数は減少し、減収となっている薬局がほとんどです。

 

自店舗、自業界を守る事にばかり目がいき、肝心の患者が疎かになっているように感じました。

 

こんな時こそ必要とされるのが医療機関であり、そこで働くのが私のなりたかった医療従事者だろうと思いました。

 

結論として、私の人生においては『医療従事者である薬剤師として、知識と技術で他の医療従事者とコミュニケーションをとり患者の利益に繋げること』が最大のミッションであると考えました。(これまでと大きくは変わらないが改めて)

 

業界ありきではなく薬剤師ありき。

 

薬局の為の薬剤師ではなく、薬剤師の為の薬局。

 

薬剤師がいなければ薬局じゃない。

 

薬局や会社の為に働くのではなく、患者の為に働く。

 

だから薬局とか病院とか薬店とか各々の業界のことは切り離して、患者の為になっていると思える(あくまで主観)ところで働き、技術を磨けるような環境に変えようと思いました。

 

今の環境に不満があるわけでは無く、むしろ人間関係は良好で会社の人からは必要とされ働きがいもあるとても良い職場です。

 

今回の転職は自分の中でもやもやしていたものを知り、子供ができたことをきっかけに踏み出すことができたステップアップだと思っています。

 

死ぬ時に『薬局業界の為に働いた』では無く、『患者の為に働いた』と言いたいから。