薬剤師夫婦の日常

子供のことや薬の話

【整腸剤】効果と副作用の評価

 

薬剤師夫婦/夫です。

 

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※主に医療用のものを想定して言及しています


「効果があるから続けている」は本当か

 

整腸剤は、ビフィズス菌や乳酸菌、酪酸菌などを含む製剤であり、便通改善や腸内環境の正常化を目的として広く用いられている。高齢者施設や療養病棟では「定番の処方」として長期的に投与されることも多い。

 


しかし、効果の実感があいまいなまま、漫然と継続されているケースが少なくない。特に便秘や下痢といった症状が出ていない場合でも、整腸剤が定期的に投与されていることがあり、その目的や必要性が不明瞭なまま処方が続いている。

 

 

 

整腸剤の効果エビデンスと限界

 

ビオフェルミン、ラックビー、ミヤBM、ビオスリーなど、医療用の整腸剤には多様な菌種が使われており、便通異常に対して中等度の効果が期待される。特にミヤBMや酪酸菌製剤には下痢抑制効果の報告もあるが、効果の程度は個人差が大きい。

 


一方で、大規模な比較試験が不足しており、明確な推奨レベルに達するエビデンスは乏しい。そのため、「効いていると思うから続けている」という主観的判断で投与が続く傾向がある。

 

 

 

副作用は「少ない」が「ない」ではない

 

整腸剤は副作用が少ないとされているが、少なからず下痢や腹部膨満感を誘発する可能性がある。特に複数の菌種を含む製剤(例:ビオスリー)は、腸内発酵によるガス発生を通じて膨満感や軽度の下痢を引き起こすことがある。

 


高齢者や複数薬剤を服用している患者では、その影響が軽視できないことがある。他の薬剤による消化器症状と区別がつきにくくなるため、「整腸剤のせい」と気付かれにくい点も問題である。

 

 

 

オピオイドとの併用に注意が必要な理由

 

特に注意すべきは、オピオイド導入時に整腸剤が影響を及ぼすケースである。オピオイドは便秘や消化器抑制を引き起こすが、既に整腸剤を服用していると、便通の変化が整腸剤の影響かオピオイドの副作用か判別しづらくなる。

 


これにより、タイトレーション時の用量判断に迷いが生じ、「副作用が強い」と早期に減量や中止が行われてしまう可能性がある。実際、整腸剤による軽度の下痢がオピオイド誘発と誤認され、増量が妨げられた事例も報告されている。

 

 

 

見直しのススメ:まずは目的の再確認を

 

整腸剤は有用な薬剤であるが、「なぜ使っているのか」「いま必要か」という問いを常に持つことが重要である。症状が安定していれば一時中止や減量を試み、副作用の評価精度を上げることが、オピオイドを含む他剤の適正使用にもつながる。

 

 

おまけ

愛用してる医薬品

日頃のスキンケアは、肌の健康維持に欠かせない。薬局勤務時代も、基剤の使用感や好みを考慮して患者さんに製品を勧めていた。同じ有効成分でも、使用感が合わなければ継続しにくい。複数の製品を試し、自分に合うものを選ぶことが重要である。

ヒルマイルドは、ヘパリン類似物質を有効成分とし、ヒルドイド®️と同じ成分を含む。乾燥肌や荒れた肌のケアに、試す価値がある製品といえる。