薬剤師夫婦/夫です。
本日は「ピロリ除菌」について。
(今から6年前の出来事)
ピロリ菌とは何か
ピロリ菌は、胃潰瘍や胃がんのリスクを高めることで知られている。
感染が確認された場合、積極的に除菌することが推奨されている。
除菌の適応年齢には原則として上限がない(添付文書には「成人に対して・・・」と記載)。
「推奨」という言葉は便利であると同時に、時として迷わせるものである。
80歳男性患者のケース
80歳男性の患者で、ピロリ陽性が判明しボノ○ップ400が処方された。
患者の語る内容(S)を要約すると以下の通りである。
知人がピロリ治療薬の副作用で苦しんだ話を聞き不安を抱いている
自身は無症状であり、この年齢で除菌治療を受けることに迷いがある
医師からは「感染してるけど飲む?どうする?とりあえず出しとく」と告げられた
「はっきり飲むように」と指示されれば決心がついたが、判断を委ねられ困惑している
次回は除菌判定検査だが、副作用を考慮し服薬を躊躇している
患者はこのように不安と迷いを抱えている。
薬剤師としての考え
副作用の情報提供は必須であるが、患者が自己判断で服薬を中止すれば耐性菌のリスクが生じる。
ピロリ感染は消化器疾患のリスクを高めるため、服薬の意義を丁寧に説明する必要がある。
高齢、無症状、副作用への不安など、医師としても「除菌失敗の可能性」を考慮した上で判断を患者に委ねた可能性がある。
現場では、ガイドラインの通りに進まないことも少なくない。
薬剤師の役割
そのような現場において、薬物治療を安心安全に、正しく遂行するよう導くのが薬剤師の使命である。
確かに、下痢や脱水、味覚障害といった副作用のリスクは存在し、それに伴い低栄養となる可能性も否定できない。
しかし、「とにかく飲んでください」と一方的に伝えるのでは、治療の成功は難しい。
信頼関係を構築し、根気強く服薬の意義を説明する必要がある。
除菌判定のタイミング
除菌の判定は、治療薬終了後4週間以上経過しなければ行えない。
よって、逆算して早めに服薬を開始できるよう調整するのが望ましい。
以上、薬剤師の視点からピロリ除菌と患者対応について述べた。
現場でのリアルな悩みを共有し、薬剤師の役割を改めて考えるきっかけとなれば幸いである。
おまけ
愛用してるOTC
ビオフェルミン®️ は商品名でよく知られている。市販(OTC)と医療用では含まれる菌種に違いがある。だが「医療用でないと効かない」と言う意見を私は聞いたことがない。実際、菌種や配合量の違いによって効果に違いがあると言ったエビデンスはあるのだろうか。市販と医療用で比較試験はまずされないと思うが。従って私はOTCで効果が実感できているなら医療用である必要はなく充分だと考えている。
楽天
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