薬剤師夫婦/夫です。

プレドニゾロン(PSL)を内服中の患者は、免疫抑制状態にあり、感染症に対して注意が必要である。特にPSL5mgといった一見「少量」とされる投与量でも、患者背景や併用薬によっては免疫機能が低下し、易感染状態が生じうる。
感染症の発症を疑う際、炎症マーカーであるCRPの値に注目することが多いが、ステロイドを内服している患者ではその解釈に注意が必要である。
ステロイドの作用とCRPの関係
ステロイドには強力な抗炎症作用があり、サイトカインの産生を抑制することでCRPの上昇を抑える。このため、感染が起きていてもCRPが大きく上昇しない、あるいは上昇が遅れるケースがある。つまり「CRPがそれほど高くないから感染ではない」とは限らないのである。
臨床現場での判断ポイント
ステロイド内服患者における感染の有無を評価する際は、CRP値だけに依存してはいけない。体温や呼吸数、意識状態の変化、局所の感染徴候など全身の臨床所見と組み合わせて総合的に判断する必要がある。
また、WBCや好中球数といった他のマーカーも併用することで、診断精度を高めることができる。
少量ステロイドでも過信は禁物
PSL5mg/日は、自己免疫疾患などの慢性疾患でよく使われる用量である。しかし「少量だから大丈夫」と考えるのは危険である。高齢者や糖尿病患者では、少量ステロイドでも免疫力が大きく低下していることがあり、軽微な炎症反応でも重症感染に発展することがある。
まとめ
ステロイド内服中の感染評価において、CRPが参考になることは確かであるが、その「上がり方」は必ずしも通常通りとは限らない。CRP値が正常だからといって安心せず、患者の全身状態を丁寧に観察することが求められる。特にPSLを内服している患者では、「CRPはあまり上がらないかもしれない」という前提で慎重に臨むことが、見逃しを防ぐカギとなる。
