薬剤師夫婦/夫です。
抗てんかん薬として長年使われてきた「フェノバール®️」(フェノバルビタール)は、現在でも一部の臨床現場で利用されている。しかし、近年では新規抗てんかん薬への切り替えが進められており、その際に必要となるのが「フェノバール換算」である。今回は、薬学的観点からフェノバール換算の基本と注意点を整理する。
フェノバールの特性と用量
フェノバールはバルビツール酸系の長時間作用型抗てんかん薬であり、主にGABA作動性を介して発作抑制効果を発揮する。成人における一般的な維持量は1日60〜120mgであり、血中濃度モニタリング(TDM)が推奨される。急激な減量や中止は反跳発作のリスクが高いため、切り替えは慎重に行わねばならない。
他剤への換算の考え方
フェノバール換算には標準化された「公式」は存在しない。臨床では経験則をもとにした目安が用いられることが多い。たとえば、近年切り替え対象となることが多いレベチラセタム(LEV)は、SV2A阻害を作用機序とし、フェノバールとは異なる。換算量の目安として、フェノバール30mgに対しLEV250〜500mg程度が参考にされることがある。ただし、これはあくまで一般的な目安であり、個別の患者背景に応じた調整が重要である。
換算時の漸減・漸増プロトコール
フェノバール換算を行う際は、急減を避けるため「漸減プロトコール」を採用すべきである。例えば、フェノバール90mgから開始する場合、1〜2週間ごとに60mg、30mg、最終的に中止とし、並行してLEVを250mg、500mg、750mgと増量する方法が一般的である。腎機能障害や高齢者ではLEVの初期用量を減らし、より慎重な増量計画を立てる必要がある。
肝酵素誘導と薬物相互作用の注意点
フェノバールは肝酵素誘導作用を有し、併用薬の代謝に影響を与える。このため、切り替え時には相互作用を考慮し、特にCYP代謝を受ける薬剤の血中濃度変動に留意する必要がある。換算時にはTDMを活用し、血中濃度をモニタリングしながら計画的に進めることが安全な治療の鍵となる。
結論:患者個別性を重視した換算
フェノバール換算は単なる「計算式」ではなく、患者の年齢、腎機能、併用薬、薬物動態、治療歴を総合的に考慮した計画が求められる。特に抗てんかん薬切り替えにおいては、TDMの併用により血中濃度を把握しつつ、適切な漸減・漸増を行うことが安全かつ効果的な移行の鍵となる。薬剤師として、患者一人ひとりに最適な処方提案を行うために、フェノバール換算の基礎を理解し、現場での応用力を磨き続ける必要がある。
おまけ
愛用してる医薬品
日頃のスキンケアは、肌の健康維持に欠かせない。薬局勤務時代も、基剤の使用感や好みを考慮して患者さんに製品を勧めていた。同じ有効成分でも、使用感が合わなければ継続しにくい。複数の製品を試し、自分に合うものを選ぶことが重要である。
ヒルマイルドは、ヘパリン類似物質を有効成分とし、ヒルドイド®️と同じ成分を含む。乾燥肌や荒れた肌のケアに、試す価値がある製品といえる。
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