薬剤師夫婦の日常

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【メマンチンとChE阻害薬】高齢者に使う際の注意点

 

薬剤師夫婦/夫です。

 

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認知症治療薬にはさまざまなタイプが存在するが、大きく分けて「メマンチン」と「アセチルコリンエステラーゼ(ChE)阻害薬」系に分類できる。両者は作用機序も脳への影響も異なり、特に高齢者に対して使用する場合には、慎重な用量設計が求められる。

 

 

 

メマンチンは抑制的な作用を持つ

 

メマンチン(メマリー®️)はNMDA受容体拮抗薬に分類され、グルタミン酸の過剰な神経刺激を抑制する。グルタミン酸の興奮毒性がアルツハイマー病の病態に関与しているとされるため、それを穏やかにブロックするという作用機序を持つ。結果として、メマンチンは「脳の過剰な興奮を抑える=抑制的な薬」という印象を受ける。

 


実際、メマンチンはBPSD(認知症に伴う行動・心理症状)に伴う興奮や攻撃性に対し、穏やかな抑制効果を示すことがあり、「怒りっぽい」「夜間せん妄が出やすい」患者に対して、落ち着きをもたらす目的で使用されることもある。

 

 

 

ChE阻害薬は興奮的な作用を持つことがある

 

一方、ドネペジルやリバスチグミン、ガランタミンといったChE阻害薬は、アセチルコリンの分解を抑制し、脳内のコリン作動性神経伝達を高める。これは本来、認知機能を改善させる方向に働くが、高齢者では「不眠」「焦燥」「攻撃性」など、いわゆる興奮性の副作用が出現するケースもある。

 


そのため、「ChE阻害薬は覚醒的・興奮的」「メマンチンは抑制的」という分類は、作用機序と臨床上の印象の両面から、ある程度妥当であると言える。

 

 

 

高齢者にメマンチン20mgは過量か?

 

添付文書上、メマンチン(メマリー®)は1日1回20mgが維持量とされているが、90歳を超えるような高齢者では「傾眠傾向」「ふらつき」「食欲低下」などが見られ、20mgでは過量と感じる場面も多い。特にeGFRが低下しているケースではメマンチンの蓄積が起こりやすく、副作用が顕在化しやすいため、1日1回10mgでの維持が適切な場合も多い。

 

 

 

メマンチンは1日1回投与が基本

 

なお、日本で承認されているメマンチン製剤は1日1回投与であり、漸増スケジュールもすべて1日1回である。(例:1週目5mg、2週目10mg…)。副作用(特に傾眠やふらつき)を考慮し、夜間就寝前の投与が選ばれることもある。

 

 

 

まとめ

 

高齢者、特に90歳以上の超高齢者では、メマンチンの20mg維持は過量となる可能性がある。抑制的な作用でBPSDを落ち着かせる目的で使う一方、副作用に対しては十分な注意が必要である。ChE阻害薬と比較しながら、それぞれの薬の特徴を正しく理解し、柔軟に用量調整していくことが、認知症の薬物治療において極めて重要である。

 

 

おまけ

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アリナミンEXプラスを続けることで、肌荒れや吹出物の改善を実感している。含まれるビタミンB1誘導体は皮膚代謝を助け、ビタミンB6は皮脂分泌の調整と抗炎症作用で肌荒れを防ぐ。ビタミンEの抗酸化作用は肌細胞を保護し、肌の調子を整える。長年の使用から、安全性の高さを実感しており、肌の健康維持に役立つと感じている。