薬剤師 夫です。
今日は抗うつ薬のお話です。
うつ病とは
セロトニンやノルアドレナリンなど気分や意欲に関わる脳内神経伝達物質の不足などにより情報伝達が正常に機能していない状態と考えられています。
うつ病と聞くと皆さんどのようなイメージをお持ちでしょう。
最近では有名人がうつ病であったり、うつ病を治療していた事を公表したりすることも増えてきました。
うつ病になる原因は様々ですが、最近では薬の力を借りてしっかりと治療することの重要性がやっと認知されてきました。
心療内科や精神科の受診に抵抗のある方もまだいらっしゃるかもしれませんが、受診することは決して恥ずかしいことではありません。
むしろしっかり治療して元気で幸せに暮らすことで周りの大切な人も幸せになる可能性もあるのではないでしょうか。
抗うつ薬の使い方
抗うつ薬の発達は目覚ましく、次々と新しい作用機序の抗うつ薬が開発発売され治療に役立ってます。
使い方の原則は、
少量から開始
速やかに増量
減量・中止は緩徐に
薬に頼りすぎるのは確かに問題ですが、適正使用を遵守し、薬を一時的な補助輪として、自走できるようになるまでの手助けとして使用することはとても大切です。
(使用期間には個人差があり、一概にこのくらい続けているのは良くないというわけではない)
薬物治療
抗うつ薬の歴史は、三環系→四環系→SSRI→SNRI→NaSSAへとその系統が進化していきました。
細かな作用機序は割愛しますが、この進化は程度の差はあっても、理論上効果に大差なく(プラセボとの有意差はどの薬もある)、むしろ副作用の観点からより安全(副作用発現リスクが低い)に使用できるような進化と私は理解しています。
古くから使用される抗うつ薬も、今では全く別の効能(例えば夜尿症など)で使用されるなど、精神疾患の治療に留まらずその用途は多岐にわたります。
SSRI
フルボキサミン
パロキセチン
セルトラリン
エスシタロプラム
- 服用初期に消化器症状が出やすいが、継続すると軽減、消失しやすい。
- 代謝酵素阻害に注意
- 不安障害に対する適応も
SNRI
ミルナシプラン
デュロキセチン
ベンラファキシン
- 頻脈や排尿障害に注意
- SSRIより嘔気嘔吐が少ない
NaSSA
ミルタザピン
- 作用は早期に発現しやすい。
- 眠気(3~7日程度で落ち着く)、体重増加の可能性(抗ヒスタミン作用)
- 不眠の改善効果も
5月の大型連休が明け、梅雨時期が近づき、憂鬱になる方も多いかもしれません。
あまり一人で考え込まず、一度受診して相談してみても良いのではないでしょうか。
参考文献
Rp.+レシピプラス 2019年 春号、Vol.18 No.2
今どきの抗うつ薬処方
ここでも使える!!SSRI、SNRI、NaSSA
2019年4月1日発行
発行所 株式会社 南山堂
発行者 鈴木幹太
編集長 村井恵美