薬剤師夫婦/夫です。
呼吸苦と呼吸困難感の違い
医療現場でしばしば使われる「呼吸苦」と「呼吸困難感」という言葉。両者は混同されがちだが、基本的には同義と考えて差し支えない。いずれも、患者が自覚する「息苦しさ」という主観的な不快感を指す表現である。
厳密には、呼吸困難(dyspnea)は「呼吸に関連する不快な主観的感覚」と定義され、米国胸部学会(ATS)によって医学的な用語として整理されている。一方、「呼吸困難感」はより日本語的な表現で、主に看護記録や現場会話で用いられることが多い。いずれにしても、客観的な指標(SpO₂や呼吸数)と一致しないことも多く、あくまで患者の訴えを尊重することが重要である。
呼吸困難感の緩和に使われるオピオイド
呼吸困難感に対しては、オピオイドの使用ががん性疼痛の管理と並ぶ主要な適応として認知されている。オピオイドは中枢神経系に作用し、呼吸中枢の感受性を調整することで、患者が感じる「呼吸の苦しさ」を緩和する。
その際に使用される代表的な薬剤が、オプソ®(モルヒネ内用液)とヒドロモルフォンである。
オプソとヒドロモルフォンの比較
オプソ(モルヒネ)
主な投与経路•••内服・坐薬・注射
効果発現•••経口:30〜60分
呼吸困難緩和の実績•••多くのエビデンスあり
腎機能への配慮•••代謝物が蓄積しやすい(M6G)
投与時の利便性•••経口投与可能、在宅でも対応可
ヒドロモルフォン
主な投与経路•••注射(静注・皮下注)
効果発現
静注:5分、皮下注:15分以内
呼吸困難緩和の実績•••モルヒネと同等以上の報告あり
腎機能への配慮•••腎機能低下時でも比較的安全
投与時の利便性•••急性症状時に速効性を発揮
オプソの苦味と単シロップの工夫
オプソには強い苦味があり、高齢者や小児では服用の継続が困難になることも多い。そのような場合、単シロップの添加が効果的である。
添加量の目安:
オプソ量(mL)の倍
約5〜10mL
緩和ケアにおける「ひと工夫」がQOLを支える
呼吸困難感の緩和は、がん末期や心不全患者のQOLに直結するテーマである。適切な薬剤選択に加えて、味覚や剤形への配慮も「治療」の一部である。オプソの味を改善する工夫や、ヒドロモルフォンの即効性を活かした対応など、臨床現場での細やかな工夫が患者の安心につながる。
おまけ
愛用してる医薬品
アリナミンEXプラスを続けることで、肌荒れや吹出物の改善を実感している。含まれるビタミンB1誘導体は皮膚代謝を助け、ビタミンB6は皮脂分泌の調整と抗炎症作用で肌荒れを防ぐ。ビタミンEの抗酸化作用は肌細胞を保護し、肌の調子を整える。長年の使用から、安全性の高さを実感しており、肌の健康維持に役立つと感じている。