薬剤師夫婦/夫です。

薬剤師がカルテに記録する内容は「情報提供」という形をとりながらも、時に「指導」に近い側面を帯びる。薬学的な根拠をもとに処方の中止や変更を提案することは正当であっても、その伝え方次第で医師や他職種に「命令」や「批判」のように受け取られてしまう可能性がある。
ある医師から「薬学的観点からの提案は適切であるが、表現に気をつけなさい」と助言を受けた。具体的には「〇〇を根拠に△△の中止をご検討ください」と書くと、読む側によっては「中止しないのは悪いこと」と受け取られやすい。これを「△△の中止は可能でしょうか」と書き換えることで、選択権が医師にあることを明示でき、印象が和らぐ。
医療現場には多様な価値観を持つ医師が存在し、特に年長の医師にとっては処方への介入が極めてセンシティブに映ることもある。「余計なことを書くな」と受け取られてしまうケースもある一方で、薬学的根拠が明確であれば医局会などで介入が承認され、継続される事例もある。
重要なのは、薬剤師の役割を全うしつつ、人格的にも優れた医師たちに不快感を与えないことである。怒る人は怒るし、鬱陶しいと感じる人は必ず出る。しかしだからこそ、伝え方の細部まで配慮する姿勢が求められる。表現を「命令型」から「選択肢提示型」へシフトさせることで、関係性を壊さずに専門性を発揮することができる。
薬剤師のカルテ記載は、ただの文言の違いではなく、チーム医療における信頼関係を左右する大きな要素である。今一度自らの表現を見直し、細部まで気を配ることが大切だと感じている。
