薬剤師夫婦の日常

子供のことや薬の話

ジェネリック嫌悪と怒鳴り込み:医療現場におけるハラスメントをどう考えるか

 

薬剤師夫婦/夫です。

 

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ある地方の薬局に、ある日ひとりの医師が怒鳴り込んできたという。

「ジェネリックは嫌いだ。選定療養なんて間違っている。薬局のスタッフがジェネリックをどう説明しているのか、全員の対応を見せろ」と。

 


その場にいた薬局スタッフだけでなく、偶然居合わせた患者も、普段穏やかなこの医師からは想像もつかない剣幕に驚いたという。

 


この薬局は透析クリニックの門前薬局であり、地域における透析医療の重要な一端を担っている。薬局が機能不全に陥れば、通院患者に大きな影響が出ることは明白である。そのことを承知の上での言動であれば、極めて無責任な行為と言わざるを得ない。

 


確かに、国の政策により薬価は引き下げられ、ジェネリック医薬品の使用が推進された結果、製薬企業の収益構造は変化し、創薬にかける資金力は低下傾向にある。

その影響で新薬の開発ペースが鈍化しているとの指摘もあり、医療現場の一部からは「安価な薬を求めるあまり、未来の医療を犠牲にしているのではないか」との懸念も聞かれる。

 


一方で、少子高齢化の進行により社会保障費は年々増加し、現役世代の保険料負担は重くのしかかっている。薬価の引き下げは、医療財政を維持するために避けては通れない政策でもある。

 


このように、ジェネリックの普及は単なる「コスト削減策」ではなく、持続可能な医療制度の一環として実施されている。選定療養制度も、患者の自由な選択を認めつつ、限られた医療財源の適正配分を目指す仕組みである。

 


だからこそ、制度の運用に不満があるとしても、現場の薬局スタッフに感情をぶつける行為は許容されるべきではない。特に、患者の目の前で怒声を上げることは、医療人としての品格を疑われる行為であり、ハラスメントとして問題視されるべきである。

 

学生時代、アルバイト初日のことを今でも思い出す。

突然上司に怒鳴られた。

「いいからスプーンを持ってこい!」

初日なので置いてる場所も教わっていない。

聞こうとしても遮られ、客の前であからさまに怒鳴られる。

「なぜそんな理不尽な怒り方をされるのか?」と戸惑いと悔しさが入り混じった、忘れ難い経験である。

 

医療における信頼関係は、専門職同士の敬意と連携により成り立つ。制度に疑問があるなら、適切な場で建設的に議論すべきであり、職場の秩序と患者の安心を乱すような行動は決して容認されるものではない。