薬剤師夫婦の日常

子供のことや薬の話

【学会】年一の発表会で考えたこと

 

薬剤師 夫です。

 

今月は二週連続で薬剤師向けの学会に参加してました。

 

年に一回のビッグイベントです。

 

場所は山口県と兵庫県。

 

兵庫県は神戸で規模としては比較的小規模。

 

大学時代所縁の場所ですし、大阪からのアクセスは抜群なので気が楽です。

 

一方山口は下関で大阪からのアクセスは良いとは言えない場所でしたが、新幹線の停車駅小倉から在来線で15分程の思っていたより楽に行けるところでした。

 

特別記念公演はノーベル賞受賞者の本庶佑先生で、沢山の人が講演に耳を傾けていました。

 

私が下関の学会でトピックとなると考えたのは心不全と子育て支援。

 

心不全における薬物治療は近年大きく発展し、特に薬剤師としてはSGLT-2阻害薬の糖尿病合併の慢性心不全(対象はHFpEF)患者に対する有用性は非常に興味深くなってます。

 

また、少子高齢化、核家族化に伴い、子育てに不安を感じている私と同世代の人は多く、

 

それもあってか、今学会では子育て支援に関わる発表が目立ってみえました。

 

薬剤師が子育て中の親、子供に対して薬学的にどのように介入し支援できるか、様々な提案があり実践できる内容も多くありました。

 

特に、印象的だったのは『服薬支援は子育て支援である』という言葉。

 

今の時代、情報はネットから幾らでも手に入れることができます。

 

「薬 飲ませる方法」と検索すればいくからでも子供に薬を飲ませる方法は出てきます。

 

しかし、実際薬を飲ませる親御さんはどこまでの知識・意識を持って子供に薬を飲ませているのか。

 

まず、『飲ませる』という考え方から変えなければなりません。

 

ここが薬剤師の存在意義となるところです。

 

子供が薬を飲みさえすればいいと考える親御さんに対して個々に適した服薬支援、アドバイスを薬剤師は送る事ができます。

 

まず、『飲ませる』から『服薬行動』をとってもらえるように誘導します。

 

いやいやではいつかダメになります。

 

話は服薬の観点から変わりますが、子育ては『根比べ』であると同時に知恵比べだと思います。

 

今の子供の発達状況から本人の考え方を分析しそれを利用して試します。

 

例えば、我が家の子供が歯磨きをするときは、私自身が歯磨きをして見せました。

 

元々子供は歯磨きが嫌いで歯ブラシを見せると泣きわめいていたところ無理やり歯磨きをしていました。

 

それではいけないと、大人のモノを欲しがる習性を利用して、大人も歯ブラシに歯磨き粉をつけて歯磨きをすることを一連の流れから全て目の前で見せました。(私は夜お風呂場で歯磨きをするので主にお風呂場で一緒にお風呂に入る時に)

 

すると自分から自分の歯ブラシを要求し、ブラシを自分から口の中に入れるようになりました。

 

今では大人が歯磨きを見せなくても自分の歯ブラシを自分からとって歯磨きをします。

 

一歳半の我が家の子供はまだ服薬する機会がなかったので服薬行動をとった事はありませんが、歯磨き同様の考え方で今服薬行動を起こさせるとすると、大人が薬(に見立てた薬、つまり乳糖など)を飲む様子を繰り返し見せると思います。

 

勿論子供の発達状況によっては粉薬が嚥下機能的に不向きであったり、食べ物を混ぜる時もその物が嫌いにならないように注意が必要となる為、剤形などの工夫は服薬行動をとってもらう前に分析して大人が選択しておかなくてはなりません。

 

こうした分析と実験を繰り返すことが子育てだと考えているので『服薬支援は子育て支援である』と言う言葉は私の中でもしっくりきました。

 

今絶賛子育て中の親御さんがこの記事で、薬剤師がどんな子育てをしているのか少し覗き込めたような気分になってもらえると嬉しく思います。