薬剤師夫婦の日常

子供のことや薬の話

【COPDと高齢者の吸入指導】デバイス選定の視点から

 

薬剤師夫婦/夫である。

 

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本日はCOPD(慢性閉塞性肺疾患)について述べたい。COPDは肺が不可逆的に伸展しなくなり、酸素交換の効率が低下する病態である。主な原因はタバコであり、近年では禁煙の普及により病型の偏りにも変化がみられるようになった。COPDは大きく、気腫型と非気腫型に分類される。

 

 

高齢者に適した吸入デバイスとは

 

高齢者では認知機能や身体機能の低下、視力・聴力障害、巧緻動作の衰えが見られることが多く、吸入薬の正しい使用が難しくなることがある。特にドライパウダー吸入(DPI)デバイスは、吸気流量が必要であり操作も複雑な場合がある。こうした中、エリプタ(ELLIPTA)は高齢者に適したデバイスであると考えられる。

 


エリプタは、カバーを開けるだけで吸入準備が整い、吸入後はカバーを閉じるだけでよい。ボタン操作やカートリッジ交換が不要で、力を必要としないため高齢者にも扱いやすい。さらに、残量インジケーターも視認性が高く、誤操作を防ぐ設計となっている。

 

 

 

吸気流量が不足する場合の選択肢

 

一方で、吸気流量が不足している場合には、エリプタでは薬剤の十分なデリバリーが難しいことがある。このような場合、エアゾール剤(pMDI)、特にエアロスフィア(AEROSPHERE)の使用が適している。エアロスフィアは加圧噴霧式で、吸気流量に依存せず薬剤をデリバリーできる特長がある。また、スペーサーの併用により、吸入タイミングの問題を解消し、吸入効率も向上する。

 

 

 

吸入指導の実践

 

高齢者への吸入指導では、以下の点を徹底する必要がある。まず、デバイスの選定にあたり操作性と吸気流量を考慮すること。次に、実演を交えた指導を行い、患者の動作を確認しながら正しい使用方法を繰り返し練習させる。視覚・聴覚への配慮として、大きな文字やイラストを用い、静かな環境で説明する。加えて、定期的に使用方法を再確認し、誤操作や不十分な吸入を防ぐことも重要である。

 

 

 

結論

 

COPD患者、特に高齢者への吸入指導では、デバイス選定と指導方法が治療の成否を左右する。エリプタは操作性の簡便さから適応が高く、吸気流量が不足する場合にはエアロスフィアやスペーサー併用が有効である。患者一人ひとりの状態に応じたデバイス選定ときめ細やかな指導を徹底することが、治療効果と生活の質向上につながる。

 

 

おまけ

愛用してる医薬品

日頃のスキンケアは、肌の健康維持に欠かせない。薬局勤務時代も、基剤の使用感や好みを考慮して患者さんに製品を勧めていた。同じ有効成分でも、使用感が合わなければ継続しにくい。複数の製品を試し、自分に合うものを選ぶことが重要である。

ヒルマイルドは、ヘパリン類似物質を有効成分とし、ヒルドイド®️と同じ成分を含む。乾燥肌や荒れた肌のケアに、試す価値がある製品といえる。

 

 

楽天

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