薬剤師夫婦/夫です。

クローン病は慢性的に腸管に炎症を生じる難治性疾患であり、その症状の一つに腹痛がある。腹痛は炎症そのものによるもの、腸管の痙攣によるもの、あるいは合併症に起因するものなど、原因によって対応が異なる。本記事では、臨床現場で用いられる薬剤を整理する。
炎症を抑える薬
炎症活動性が高まると腹痛が出現するため、そのコントロールが基本となる。
5-ASA製剤(メサラジン、サラゾスルファピリジン)
軽症〜中等症で用いられる。炎症を抑えることで腹痛改善に寄与する。
副腎皮質ステロイド(プレドニゾロンなど)
中等症以上で短期間使用される。強力な抗炎症作用により腹痛を速やかに改善する。
免疫調整薬(アザチオプリンなど)や生物学的製剤(抗TNFα抗体など)
長期的な炎症コントロールに有用であり、再発予防に役立つ。
腸管痙攣に対する薬
腸管の過緊張や痙攣により腹痛が起こる場合がある。
抗コリン薬(ブチルスコポラミンなど)
腸管平滑筋を弛緩させて痙攣痛を和らげる。ただし腸閉塞の疑いがある場合は禁忌である。
感染や合併症に伴う腹痛への薬
肛門病変や膿瘍、瘻孔などが存在する場合には、抗菌薬が必要となる。
メトロニダゾールやシプロフロキサシンが代表的である。
鎮痛薬の選択と注意点
クローン病の腹痛に対する鎮痛薬は、選択に注意を要する。
- アセトアミノフェンは比較的安全に使用できる。
- NSAIDs(ロキソプロフェンなど)は病勢悪化のリスクがあり、原則避けるべきである。
- オピオイドは腸管麻痺や便秘を悪化させる可能性があるため、慎重な適応が必要である。
まとめ
クローン病の腹痛に対して処方される薬は、その原因に応じて選択される。炎症そのものに対しては5-ASA製剤やステロイド、生物学的製剤などが用いられる。痙攣性の痛みには抗コリン薬、合併症には抗菌薬が有効である。鎮痛薬を用いる場合は、アセトアミノフェンを基本とし、NSAIDsは避けることが推奨される
