薬剤師夫婦/夫です。
〜作用機序と適応の視点から整理する〜
共通点:D2部分アゴニストという新しい発想
非定型抗精神病薬として知られるレキサルティ®️(ブレクスピプラゾール)とエビリファイ®️(アリピプラゾール)は、どちらもドパミンD2受容体の部分アゴニストという作用機序を持つ。
セロトニン5-HT1A受容体への部分アゴニズム、5-HT2A受容体へのアンタゴニズムと合わせて、ドパミンとセロトニンのバランスを調整することで、統合失調症やうつ病などに対応する。
ステム(語尾)が「-piprazole」である点も共通している。
適応の違い:ブレクスピプラゾールはBPSDに投与可能
臨床現場では両者が「同じ系統」として捉えられることが多いが、適応症には明確な差がある。
アリピプラゾールは、統合失調症に加え、**双極性障害(躁状態)や自閉スペクトラム症(ASD)**にも適応があり、成人から小児まで幅広く使用可能である。
一方、ブレクスピプラゾールは統合失調症に加えて、**アルツハイマー型認知症に伴う行動障害(BPSD)**に適応がある。高齢者の易怒性や攻撃的言動への使用が特徴的であり、小児適応はない。
つまり、アリピプラゾールは急性期・若年者向け、ブレクスピプラゾールは高齢者の慢性期症状向けとして使い分けられる。
BPSDに対する使用:0.5mgから慎重に開始
BPSDを対象としたブレクスピプラゾールの使用では、0.5mgからの慎重な開始が基本となる。維持は1mg、MAXは2mgである。
これは高齢者におけるアカシジアや傾眠のリスクを低減するためであり、忍容性の高さが評価されている。
アリピプラゾールとの比較:急性期 vs 慎重な維持
ブレクスピプラゾールとアリピプラゾールは同じD2部分アゴニストだが、臨床での使い方には違いがある。
アリピプラゾールはD2活性が強く、急性期の統合失調症や躁状態に適している。ただし、アカシジアや不眠などの副作用が出やすいため、敏感な患者や高齢者では注意が必要。
一方、ブレクスピプラゾールは作用が穏やかでアカシジアが少なく、不安や易刺激性の改善にも有効。そのため、BPSDや慢性期の統合失調症に向いており、高齢者にも使いやすい。
つまり、アリピプラゾールは活動性の高い症状に対応しやすく、ブレクスピプラゾールは落ち着き重視の治療に適している。
両剤は同じD2部分アゴニストではあるが、以下のような違いが臨床的に重要である。
まとめ:似て非なる抗精神病薬を正しく使い分ける
ブレクスピプラゾールとアリピプラゾールは、構造や作用機序が似ている一方で、**「どんな患者に、何を目的として処方するか」**という観点では明確な違いがある。
薬剤師としてはこの違いを把握し、単なる「同じ系統の薬」としてではなく、患者背景に応じた提案ができるようにしておきたい。
おまけ
愛用してる医薬品
日頃のスキンケアは、肌の健康維持に欠かせない。薬局勤務時代も、基剤の使用感や好みを考慮して患者さんに製品を勧めていた。同じ有効成分でも、使用感が合わなければ継続しにくい。複数の製品を試し、自分に合うものを選ぶことが重要である。
ヒルマイルドは、ヘパリン類似物質を有効成分とし、ヒルドイド®️と同じ成分を含む。乾燥肌や荒れた肌のケアに、試す価値がある製品といえる。