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【肝性脳症とBCAA】リーバクト継続の意義とは?最新エビデンスから考える

 

薬剤師夫婦/夫です。

 

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肝性脳症の既往を持つ患者において、再発予防や生活の質(QOL)の維持は治療の大きな柱である。その中で注目されているのが、分岐鎖アミノ酸(BCAA)製剤「リーバクト」の継続的な投与である。

 

 

 

 

肝性脳症の背景とBCAAの役割

 

 

 

肝硬変に伴う代謝障害では、芳香族アミノ酸(AAA)と分岐鎖アミノ酸(BCAA)のバランスが崩れ、Fischer比の低下が生じる。このアンバランスが中枢神経に影響を及ぼし、肝性脳症の発症に関与するとされている。

 


BCAAは、筋肉でのアンモニア代謝にも関与しており、栄養補給だけでなく、脳症の予防・再発抑制にも重要な役割を果たす。

 

 

 

 

 

ガイドラインとエビデンスに基づく使用推奨

 

 

 

日本肝臓学会の「肝硬変診療ガイドライン(2020)」では、BCAA製剤の継続使用は推奨グレードAとされており、肝性脳症や低栄養状態の改善を目的に広く支持されている。

 


なかでも代表的なエビデンスが、**Mutoらによる多施設共同ランダム化比較試験(Hepatology 2005)**である。本研究では、1,000人以上の肝硬変患者に対して5年間のBCAA補充を行い、肝性脳症・肝細胞癌の発症率を有意に低下させたと報告されている。

 

 

 

 

 

 

リーバクトの特徴と使用意義

 

 

 

リーバクトは、バリン・ロイシン・イソロイシンの理想的な比率で構成された顆粒状の経口製剤である。食後に内服することで筋合成促進効果が高まり、サルコペニア対策としても有効とされている。

 


肝性脳症の再発を繰り返す症例や、低アルブミン・低筋量の患者では、BCAA補充により予後改善が期待できる。また、ラクツロースやリフキシミン(リフキシマ®️)との併用療法により、脳症の予防と全身状態の維持が両立できる点も見逃せない。

 

 

 

 

 

 

継続投与の臨床的判断

 

 

 

リーバクトの継続が特に重要なのは以下のようなケースである。

 


肝性脳症の既往があり、再発リスクが高い
栄養状態が不良(低Alb、BMI低値、サルコペニア傾向)
高齢や活動量低下により筋代謝が低下している
食事摂取量が十分でない、または偏りがある

 

 


一方で、経済的負担や服薬アドヒアランスの問題がある場合は、栄養補助食品やリフキシミンとの置き換え・併用も検討されるべきである。

 

 

 

 

 

 

おわりに

 

 

 

BCAA製剤としてのリーバクトは、単なる栄養補助剤ではなく、「肝性脳症の再発を防ぐ治療薬の一つ」である。特に慢性期の管理においては、服薬の意義と患者背景を丁寧に評価しながら、継続投与の価値を再確認すべきである。

 


リーバクトの存在は、肝硬変患者の未来を支える大きな支柱となる――それが、今なお続くエビデンスの示す現実である。