薬剤師夫婦/夫です。

電車に乗っていたとき、ある企業のサラリーマンと思しき50代の男性が目に留まった。
新入社員には高圧的に振る舞い、中堅社員には忖度を求め、さらに近くにいた女子中学生に気軽に声をかけていた。
その一連の言動には、年齢に見合わぬ浅はかさと、他者への敬意の欠如が滲んでいた。
一方で、同じ50代でもまったく異なる姿を見せる人もいる。
自ら会社を経営し、「地域の魅力を最大限堪能してもらえる料理」を提供する飲食店を切り盛りしている男性だ。
彼の料理には、土地への敬意と、食を通じて人を幸せにしたいという真摯な想いが込められている。
同じ世代でも、背負うもの、積み重ねてきた価値観がまるで違うと感じさせられる。
社会では「年齢」や「立場」というラベルが人を定義づけることが多い。
しかし本当の意味で人を分けるのは、どんな姿勢で人と向き合ってきたか、どんな努力を重ねてきたかである。
他者に威圧的であることよりも、誰かのために誠実に働けることの方が、どれほど尊いか。
日常の中で出会うこうしたコントラストは、何気ない風景の中に人の深さを映し出している。
