薬剤師 夫です。
今日はアセトアミノフェンについて。
風邪の時はよく処方されます。
市販薬にも成分を見ていただけるとよく目にするかと思います。
私もインフルエンザで39.0℃の発熱があった時は受診して熱を測ったその場でアセトアミノフェン(200)を2錠服用しました。
アセトアミノフェン自体は安心安全な薬で、子供にもよく処方されます。
ただし!
処方箋医薬品の分類には普通薬と劇薬があるのをご存知でしょうか?
劇薬は安全域が狭く、有効域と中毒域の近い薬全般を指します。
要するに用量を気をつけないとアブナイ薬です。
アセトアミノフェンの規格(量)には200mg,300mg,500mg
がありますが、500mgだけ劇薬です。
その規格によって医薬品の分類が異なる少し珍しいやつです。
アセトアミノフェンにはそれ故に上限がきっちりと定められています。
カロナール添付文書より
『1.頭痛、耳痛、症候性神経痛、腰痛症、筋肉痛、打撲痛、捻挫痛、月経痛、分娩後痛、がんによる疼痛、歯痛、歯科治療後の疼痛、変形性関節症の鎮痛の場合:アセトアミノフェンとして、1回300~1000mgを経口投与し、投与間隔は4~6時間以上とする。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日総量として4000mgを限度とする。また、空腹時の投与は避けさせることが望ましい。
2.急性上気道炎の解熱・鎮痛の場合:アセトアミノフェンとして、1回300~500mgを頓用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。但し、原則として1日2回までとし、1日最大1500mgを限度とする。また、空腹時の投与は避けさせることが望ましい。
3.小児科領域における解熱・鎮痛の場合:幼児及び小児にはアセトアミノフェンとして、体重1kgあたり1回10~15mgを経口投与し、投与間隔は4~6時間以上とする。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日総量として60mg/kgを限度とする。但し、成人の用量を超えない。また、空腹時の投与は避けさせることが望ましい。』
と記載されています。
アセトアミノフェンで注意したいのは、市販薬などとの重複と総量です。(→アセトアミノフェンとして)
- アセトアミノフェン(200) 2錠1日1回夕食後→400mg
- パ◯ロンPL顆粒 2包→240mg
- トラマドール塩酸塩・アセトアミノフェン配合剤錠 3錠1日3回毎食後→975mg
一番下は痛み止めで整形外科でよく使われる鎮痛薬です。
"腰痛をお持ちで定期的に整形外科にかかられている方が風邪をひき、朝昼に市販薬を飲んだけど良くならなかったのでその日の夜にかかりつけ医を受診した" 事を想定すると、上記のようなアセトアミノフェンの総量となります。
如何でしょう。
上記の総量は合わせて1615mg →115mg overです。
風邪症候群としてのアセトアミノフェンの総量としては上限を超えているので、疑義照会でアセトアミノフェン変更か本日の服薬のみスキップで明日からパ◯ロン中止のアセトアミノフェン400mg開始が妥当と考えます。
このようにアセトアミノフェンは安心安全であるが故に思わぬ落とし穴があるので注意が必要です。
因みに、アセトアミノフェン過量投与により、腹痛(胃炎とは違う)、下痢や肝機能障害を起こす可能性があります。
薬を正しく使う為に医療機関にかかる際はお薬手帳の持参、薬を併用する時は必ず医師又は薬剤師に相談しましょう。