薬剤師夫婦の日常

子供のことや薬の話

【リウマチ】薬物治療の移り変わり

 

薬剤師夫婦/夫です。

 

今日は関節リウマチ(RA)について。

 

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名前は耳にした事があると思います。

 

関節が腫れて曲がらなくなるんでしょ?

 

などと詳しくご存知の方もいるのではないでしょうか。

 

関節リウマチは膠原病の一つで、自己免疫疾患です。

 

有病率は0.5〜1%と少なくありません。

 

『慢性増殖性滑膜炎による骨関節破壊を特徴とする全身性炎症性疾患』と定義されます。

 

関節以外の症状としては、間質性肺炎や血管炎などを呈することもあります。

 

血液検査や画像検査による診断がされ、治療は以下の4本柱です。

 

●基礎療法(日常生活の工夫)

●薬物治療

●手術療法

●リハビリ

 

治療は早期の方が良いことがわかってきており、中心となる薬物治療でも早くから開始する事で関節破壊の進行を抑制します

 

抗リウマチ薬の分類は6種。

 

①csDMARDs

②bDMARDs

③JAK阻害薬

④ステロイド

⑤NSAIDs

⑥鎮痛薬

 

第一選択となるのは①に分類されるうちのメトトレキサート。

 

関節リウマチにおいては、毎日飲むのではなく、曜日を決めて決められた量を服用します。

 

効果不十分でその他のcsDMARDsを追加。

 

3ヶ月を目安に改善が見られなければ、②bMARDsの追加も検討します。

 

何れの段階においても、必要に応じて④ステロイドの追加も考慮されます。

 

ステロイドと聞くと副作用など、怖いイメージをお持ちの方もいらっしゃると思いますが、用法用量をしっかり守って、自己判断での中止は絶対しないでください。

 

急な中止や増減量により、リバウンドや予後不良の原因になることがあります。

 

それでも効果不十分の場合は③JAK阻害薬が使われます。

 

個人的にはエビデンス(科学的根拠)が集約されれば第一選択になりうる薬物と考えています。

 

エビデンスの集約には時間がかかるのも事実であり、逆にデータの豊富な①MTXの選択は最も無難で良い選択であると考えられます。

 

残りの⑤⑥は何れの段階においても補助的に使用され、薬物治療の中心とはなり得ません。

 

これらの薬を服用、使用して寛解を目指します。

 

目指す寛解とは、

 

★機能的寛解・・・QOLの維持

★臨床的寛解・・・関節の痛み、腫脹の抑制

★構造的寛解・・・骨びらん(関節破壊)や関節裂隙(れつげき)の狭小化抑制

 

を指します。

 

日常生活を送るうえでお困りの方、このブログを読んで少しでも気になった方は早急に近隣の整形外科に受診されることをお勧めします。

 

繰り返しになりますが、治療は早い方が予後が良いです。

 

[reference]

薬剤師の為の疾患別薬物治療Ⅳ (南江堂)

 

 

 

 

【適正使用】効果が期待できる用量

 

薬剤師夫婦/夫です。

 

今日は薬の用法用量について。

 

薬には決まった用法用量があります。

 

多ければ良いものでもありませんし、少なくても期待する効果が得られなければ治療をする意味がありません。

 

今日は用法用量について、医師に確認の電話=疑義照会をしました。

 

『薬剤師は処方箋の内容について疑義がある時はそれを確認した後でなければ調剤してはならない。』

 

薬剤師法に定められた薬剤師の職能の一つです。

 

治療をして治すのが医師の仕事であるなら、薬剤師は薬の効果を最大限に発揮させ適正使用を推進することが仕事です。

 

医師は莫大な勉強量による知識で、あらゆる疾患に対して患者さんに寄り添ってたたかいます。

 

治療は外科治療や運動・食事療法をはじめ様々あり、薬物治療はその選択肢の一つでしかありません。

 

薬剤師は治療の選択肢の一つとなりうる薬物治療の薬の専門家です。

 

薬の事なら何でも理論的に答えられます。

 

処方された用法用量では薬の効果を最大限に発揮できないと考えられる場合は、治療効果が期待できるように情報提供する。

 

それが薬剤師の仕事です。

 

今日は抗がん剤の用法用量について確認し変更となりました。

 

よく言われるのが『薬剤師は最後の砦』であると。

 

確認の電話なしにそのまま患者さんに渡れば、命にかかわることにもなりかねません。 (今回がその場合であったわけではありませんが。)

 

今日は改めて薬剤師として身を引き締めて仕事にあたらなければならないなと思いました。

 

調剤薬局でなかなか薬が出てこなくてお待たせしてしまうこともあるかもしれませんが、薬局の中では命に関わる内容を医師と協議していることもあるのでご理解頂けると嬉しく思います。

【褥瘡】足の処置

 

薬剤師夫婦/夫です。

 

今日は在宅訪問について。

 

薬局薬剤師は薬局にいて薬を渡すだけではありません。

 

施設や個人宅を訪問し、『居宅療養管理』を行うことも増えてきています。

 

今日は訪問日で個人宅にて服薬管理を行ってきました。

 

毎週訪問していると親しくなるのは当然で、薬の管理以外のことを頼まれることもしばしば。

 

今日は足指の褥瘡のガーゼを変えて欲しいと依頼を受けました。

 

薬局薬剤師が褥瘡治療で実践する機会は少ないので緊張しました。

 

研修以来です。

 

「手慣れてはないがそれでもいいか。」

 

念押しに何度も確認しましたが、本人の意思は固く、

 

「それでもいいから変えて欲しい。」

 

プロスタンディン軟膏を使うのは初めてです。

 

皮膚形成を促進する外用薬です。

 

患部を確認すると確かに赤い浅い褥瘡が確認できました。

 

ガーゼに軟膏をとり、優しく塗布した後ガーゼで多い被せました。

 

リンデロンVGも同様に。

 

悪戦苦闘しながら何とか処置が終わりました。

 

血行があまり良くなかったので冷やさないように注意してもらうようにしました。

 

本当は処置方法を医師に確認したいところですが、もう一度患者さんの方から確認してもらう事を約束して服薬管理にうつりました。

 

服薬管理についてはいつもの事です。

 

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5診療科目を受診している為、準備にはそこそこ時間がかかります。

 

その患者さんに合った管理方法を模索しながら少しずつ改善していきます。

 

在宅業務は時間との勝負でもあります。

 

個人宅に訪問している時間は短いに越した事はありません。(お互いの為に)

 

また年が明けてからも試行錯誤を繰り返してより良くなるように患者さんと協力してやっていきます。

【アイデア】偏差値55→80

 

薬剤師夫婦/夫です。

 

薬局長になってもうすぐ一年。

 

11月に早期の転勤でしたが会社の判断、将来性を見込まれての異動と納得してます。

 

私は昔から何をやっても偏差値55です。

 

勉強にしても運動にしても人付き合いにしても。

 

平均より少し上。

 

仕事において、これは社会人になって最初の上司に指摘されました。

 

『ほとんどのことを器用にこなすけど、抜きん出ることがないよな。』

 

完全に図星で、要するに何をしても偏差値55ぐらいだねって事でした。

 

この殻を破りたい。

 

長年染み付いたもの、簡単ではないかもしれませんが、この変革のタイミングでなら私自身の中身も変えられるのではないかと感じています。

 

具体的には今の新しい店舗での、数字を会社で圧倒的に一番(偏差値80)にしたいと思っています。

 

処方箋枚数、OTC売上などをのばし最も魅力ある薬局にしていきます。

 

ただ私一人がだすアイデアは偏差値55である故に大したインパクトは残せません。

 

薬局に求めることって何でしょう?

 

もちろん薬の適正使用ですが、そこの薬局を選ぶ理由は?

 

処方箋医薬品は基本的にはどの薬局でもらっても同じ。

 

待ち時間が少ないところを選ぶのも一つ大きな理由ではあると思います。

 

その他の理由。近いから?

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少し足を伸びしてでもいきたい薬局ってどんな薬局?

 

良かったらコメント欄で教えてください📝

 

【天体】木星と土星

 

薬剤師夫婦/夫です。

 

今日は397年ぶりの木星と土星の接近。

 

人間ってちっぽけな存在なんだなと感じるともやもやした悩み事も大して事ではない気がして少し気持ちが楽になります。

 

私の悩み事と言っても漠然とした『このままでいいのか。』定期的に訪れる不安感です。

 

2020年で生活様式は激変しました。

 

これまでの常識は常識ではなくなり、変化に柔軟でなければ存在価値がなくなっていきます。

 

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薬剤師という国家資格にしがみつくつもりはありません。

 

親に安くないお金を払わせ取らせてもらった資格なので大切にはしたいですし、資格を活かして会社員とし働いて家族と生活できてるわけですから、今すぐ資格を捨てて収入が安定しない事に挑戦しようという話ではありません。

 

しかし、そもそも薬剤師って何ができるの?どんな存在価値があるの?ってとこをしっかり見定めないとこの変化の激しい時代に取り残されます。

 

薬局薬剤師の調剤業務や在庫管理は非薬剤師が担うことが認められたものの、現場では機械が導入されることは少なく、結局人が人に教える作業が必要となり、結果的に薬剤師の負担は減ってるのか増えてるのかわからない状態です。

 

そんな中でも『薬剤師は科学者である。』『薬の専門家である。』『薬のことなら理論的に根拠をもって答えられる』などの事を常に意識していなければ他の医療従事者とは働けません。

 

医療の担い手である薬剤師なら、他の医療従事者とコミュニケーションを取れる事は必須であり避けて通れません。

 

特に医療の中心的役割を担う医師とのコミュニケーションは最重要です。

 

薬局薬剤師はいつの間にか『何もわかってない人に対してわかりやすく説明』=『うまく誤魔化す』ようなことをやってはいないだろうか。

 

そこに知識のアップデートは必要ない(同じことを何度も繰り返して説明すればよく、考える必要がない)ので思考停止です。

 

治療上ケースバイケースではありますが、事医療従事者に対してそれは逆に必要無く、いざそのような状況になったときにちゃんと医療に貢献できるだけの知識とスキルを持って仕事できるのだろうか?

 

(良くも悪くも調剤をせずに済むようになって余計に)薬局で薬を渡していただけの薬剤師がどれだけ次の時代に残っていけるのだろうか。

 

薬剤師が不足していた頃は資格を持っているだけで高い時給を出した薬局ドラッグストアも今では充足し、薬剤師の時給も下がってきてます。

 

『30年後には働いていないであろう薬剤師』『これからの時代の変化に適合していくつもりのない薬剤師』『自己研鑽をする気のない薬剤師』『医療人としての自覚のない薬剤師』『コミュニケーションに難のある薬剤師』は若いこれから業界を引っ張る薬剤師の邪魔はしないで欲しい。

 

私の根源には『医療人として医療に貢献』することがあります。

 

薬を処方箋の通り取り揃えて渡す事も大切ですが、それは目的ではなく、その先にある『薬の適正使用』『患者の健康』を常に意識していなければなりません。

 

それがこれから先10年、現場で必要とされる薬剤師として存在できる唯一の道だと思っています。

 

先日医師から明らかに間違った薬の使い方を使用方法として患者に伝えるように指示がありました。

 

薬剤師としては医師の使い方は理解したうえで、患者には正しい使い方ではない事を論理的に説明した上で薬剤師として正しい薬の使い方で服用してもらうように話をしました。(医師の勘違いであることは明らかな為。医師へのフォローも必要です。)

 

天体はスケールも時の流れも桁違いですが、このタイミングでこのような観測ができる事は何か一つ大きな変化をもたらすのではないかと、心新たにまた明日からいい仕事をしようと思わせてくれるひと時でした。

 

【薬局】これからの役割

 

薬剤師夫婦/夫です。

 

クリスマス🎄前の週末です。

 

ゆったりした家族との時間を過ごしています。

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BGMはアレクサに頼んでAmazon music playlistクリスマス洋楽です。

 

今後の事について考えています。

 

いまは薬局で薬剤師として働いていますが、この状況なので業務改善の日々です。

 

情報はネットなどのSNSが医薬品卸や製薬メーカーより早いです。

 

情報はデマも含まれるのでエビデンスの高い確からしい情報を吟味し自分の中に落とし込む必要があり、そこに薬剤師としての見解が含まれる事に価値があると考えます。

 

その価値ある情報=患者さんの為になる有益な情報をいち早く伝えるのが薬局薬剤師の役割です。

 

テレビが情報源の中心である高齢者は、薬局を利用する頻度が高く、その責任は重大です。

 

加えて、今後の薬局薬剤師はどんどん外に出なければなりません。(この状況なので無闇に営業をかけるわけではなく必要時にコミュニケーションをはかるために)

 

薬剤師の知識は医者、看護師にも有益であることは以前の職場で明らかになりました。

 

患者さんだけでなく、医療従事者に対しても薬剤師としての見解を述べる機会を増やさなければ存在価値が半減することになります。

 

保険請求上も薬剤師としての職能を発揮したならば必要な点数を算定しなければ、保険者にもその存在価値が伝わりようがありません。

 

薬局は決して薬を渡すためだけの備蓄センターではありません。

 

薬の適正使用を目的とした薬剤師を中心とする情報発信源です。

 

Amazonにも踏込みにくい分野ではないでしょうか。

 

やはり薬局にできることは沢山ありそうです。

【最重要】人間関係における信用と信頼とは

 

薬剤師夫婦 夫です。

 

お久しぶりになってしまいました。

 

この3ヶ月は激動でした。

 

その結果、数日前、これまでに経験したことのない腹痛に襲われ、消化器内科を受診したところ、虚血性腸炎との診断。

 

血便もあり、大腸検査を受ける事になりました。

 

今は便秘気味ですが、症状は落ち着いてます。

 

知らぬ間のストレスなのだろうと考察し、一先ずペースダウンを計ります。

 

それはさておき、世間を騒がしている睡眠薬混入事件について。

 

私の薬局でも、対象ロットではないものの同社製造の対象品目を、自主回収の通知が出た時点で飲んでいる患者さんがいました。

 

睡眠薬混入の可能性は低いものの、製造工程に問題があると判断された以上、薬局としては早急に対応しなければなりません。

 

幸い当局にてお渡しの対象の患者さんに健康被害は今のところありません。

 

今回の事件関連で健康被害のあった方、命を落とされた方の一刻も早い回復とご冥福をお祈りします。

 

信用とは一瞬にして崩れ去るものです。

 

会社の信用に限らず、一個人においても本質は同じです。

 

これまでコツコツ積み上げてきた信用と信頼は、自覚のない人によっていとも簡単に崩れ去ります。

 

それを立て続けに感じさせられる日々でした。

 

結局は一対一、個人と個人の信頼関係がコミュニティーを作り、仕事となり利益をもたらすと考えています。

 

そこを勘違いせず、謙虚に真摯に取り組むことでしか良い仕事、充実した人生は歩めません。

 

自分の利益だけを考えるのではなく、お互い幸せになる方法を考える。

 

薬局って結構出来ることがたくさんあるかも。

 

とはいえ、今日患者さんからロキソニンのジェネリックについて「眠くなりませんか?」との質問に、これまでならほぼ考えにくいと答えていたところ、「可能性はありますので気になれば相談してください。」と返答した自分がいました。

 

影響は多大なものがあると改めて実感しました。

【データの読み方】言葉だけでは誤解を招く?!

 

薬剤師夫婦/夫です。

 

医師より、薬Aについて、

 

「なんか良くないデータでてたよね?」

 

と言われました。

 

少し前になりますが、確かに薬Aと同系統の薬Bの比較試験において、薬Aの方が薬Bよりも心血管イベントリスクが高いとのデータが有名雑誌(インパクトファクター、論文雑誌の信頼度が高い)に掲載され、ザワつきました。

 

読み方によっては『薬Aを服用すると心血管イベントリスクを上げる』とも読み取れてしまう為です。

 

しかし、それは大きな誤解で、薬Aの服用と自然発生的に発症する心血管イベントとの有意差はなかったのです。

 

要するに薬Aが心血管イベントのリスクを上げていた訳ではなく、薬Bが(何故か)心血管イベントリスクを下げていたということになります。

 

「じゃあ薬Bを使えば良いじゃん。」と思われるかもしれませんが、薬Aと薬Bとでは排泄経路が異なる為、一概に全ての方に薬Bが良いとも限りません。

 

このようにデータの読み方(論文のデータの見せ方/まとめ方もあります)によって、【言葉】だけでは誤解を招いたり間違ったイメージを与えかねません。

 

「薬Aで大きな病気にかかる可能性が高くなる。」と間違ったデータの読み方、情報を聞いて服用しようと思うでしょうか。

 

『テレビ』や『広告の見出し』など、簡単に得られる情報には気をつけなければいけません。

 

特に週刊誌などで忘れた頃にやってくる『飲んではいけない薬』も、その【言葉】を読むと服用されてる方はすぐにでも中止したくなるでしょう。

 

しかし実際にその【言葉】の根拠となっているデータを読み解くと、間違った読み方、意図的にねじ曲げられた読み方(データの見せ方)をしていることが一目瞭然です。

 

薬剤師は理系の科学者です。

 

得られたデータから結果をまとめ分析し考察するプロです。

 

客観的にデータを読み解くことができるので何が正しくて、間違っているのか、或いはどちらともいえないのかを根拠を持って示すことができます。

 

今回、医師の質問に対しては、

 

「薬Aと薬Bとの比較試験においては薬Aが薬Bよりも心血管イベントリスクを有意に上昇させました。しかし、薬Aの服用と自然発生的に発症する心血管イベントリスクとの有意差はなかったことから、薬Bが心血管イベントリスクを低下させたと考えられます。因みに薬Aと薬Bとでは1日服用回数や排泄経路が異なります。」 

 

と答えました。

 

結局対象患者には薬Bが開始となりましたけど。笑

 

まぁこれを聞けば薬Aを一切処方しない理由にはならないでしょう。

 

薬剤師ってちょっと面白くないですか?

 

【市販薬シリーズ5】ヒアレインS(目薬)

 

薬剤師夫婦/夫です。

 

今日は久々の市販薬シリーズ第5弾。

 

眼科に受診して処方された方もいるのではないでしょうか。

 

スイッチOTC「ヒアレインS」(S:参天製薬のエス)

 

有効成分:精製ヒアルロン酸ナトリウム0.1%

 

要指導医薬品(薬剤師による対面販売)

 

効能・効果は、「目の次の症状の緩和:乾き、異物感(コロコロ、チクチクする感じ)、疲れ、かすみ、ソフトコンタクトレンズまたはハードコンタクトレンズを装着しているときの不快感」。用法・用量は、1回1滴、1日5~6回点眼する。

 

<注意>

ドライアイと診断を受けている方は使用できません。

 

眼科医に相談してください。

 

↑ドライアイに使用される点眼薬と同じ有効成分ですが、ドライアイの鑑別は専門医でないと難しいことから、市販薬の適応から「ドライアイ」は除外されました。

 

(大人な事情も含まれる気がしますが。)

 

「これ(ドライアイ適応の処方箋医薬品)だけの為に受診するのが面倒だから薬局で同じものが買えたらいいのに。」

 

と言われたことをきっかけに本局でも置くようにしました。

 

ただ、上記の事情でこのきっかけを与えてくれた方には残念ながら販売することができません。

 

とはいえ、角膜保護効果は高い点眼であることに間違いはないので、眼科受診を検討している方で試しに使用してみようという方もいると思うので、良いきっかけでした。

 

日々患者さんと話をしていると様々なヒントをもらえるので有難いです。

【これまでの信用】何をやってきたの?

 

薬剤師夫婦/夫です。

 

今日は少し吐き出します。

 

私のツイートから

 

『【これまでの信用】
薬剤師の仕事の一つとして残薬の解消がある。残薬報告して処方日数の変更を提案したら「それでちゃんと継続できるのか?責任持てるのか?」と言われた。これまでの薬剤師は何をしてた?薬剤師の信用なさすぎるやろ。「責任持ってやります。」と伝えたら調整してくれたけど。』

 

薬剤師の仕事は薬を渡すことではありません。

 

安全な薬物治療及び不要な薬剤の削減です。

 

後者が『残薬の解消』に当たります。

 

多くのお薬を飲む方は必然的に飲み忘れによる残薬が増えますし、高齢になれば尚更です。

 

認知症など様々な事情はありますが、残薬が出てくることは仕方ありません。

 

残薬は調整しなければいつまで経っても残薬です。

 

前月の下旬に来局され、大量の残薬を持って来られた方がいます。

 

「お盆で法事などあり飲めなかった。残薬調整をして欲しいが病院に持って行ったら薬局で調整してもらうように言われた。」

 

さあ、薬剤師の出番です。

 

残薬解消は医療費削減にもつながります。

 

大量の残薬の数を数え、使える薬と使えない薬を選別し病院へ。

 

次回受診時に日数調整してもらえるように残薬数の報告をします。(トレーシングレポート、服薬情報提供書)

 

定期受診の日(本日)、処方は次回受診日までのDO処方(前回同様の処方内容)。

 

早速疑義照会をして日数調整をお願いします。

 

医師「本当に飲めるのか?飲む気があるのか?処方を前回飲みやすいような用法に変えたところで、日数調整なんかして混乱しないのか?継続できるのか?責任持てるのか?」

 

質問攻めです。

 

残薬調整でここまでナーバスになるドクターは初めてです。

 

日数調整は飲み忘れなどがあれば出てきて当然ですし、2,3日分なら予備として置いておく方もいるかもしれませんが日数が増えてくれば置いていても仕方ありません。

 

今回の方のように中には大量の残薬を持ってこられる方も出てきますし、薬剤師としては放っておく事はできません。

 

薬剤師「先生の処方を継続頂けるように一包化(用法ごとにパックする事)の指示も頂きました。本人に継続の意思はあり、残薬の解消を希望されています。用法もわかりやすく変更頂いたのでコンプライアンス(服薬順守。しっかり飲めること)も向上しやすいと考えます。服用継続に関してはお約束しますし、日数調整の責任は持ちます。」

 

ここまでいう必要があったのか疑問ですが、私が気になったのはこれまでの薬剤師です。

 

今回の一件ではっきりしたのは医師は薬剤師を信用していないという事。

 

薬剤師が処方箋に載っていない薬も間違いなく服用させているのかに疑問をもられたのだと思います。

 

私が異動してくる(半年前)まで残薬がなかった事などあり得ません。

 

「次回受診時に病院に言って下さいね。」

 

「頓服薬(症状が出た時に飲む薬)が余ってるなら今回は処方削除してもらいましょうか。」

 

など、簡易的で薬剤師じゃなくてもできるような残薬調整しかしてこなかったのでしょう。

 

治療に踏み込んだ残薬調整は医師の信頼が必要です。

 

処方に出ていなくても薬剤師は処方内容を把握しており、服用継続の指導をすることができる。

 

これは薬学的知識がなければできない事です。

 

これまでは薬学的知識を使わない薬剤師しかこの店舗の責任者にはいなかったと言われても言い逃れはできないでしょう。

 

医師がここまで信用していないのだから。

 

信用が得られるようにコツコツやるしかありません。

 

側から見れば小さなことですが、日数調整してもらえた事は信頼の証だと自分に言い聞かせて明日からまた(ちゃんとした)薬剤師やります。

 

【変革の時】薬剤師の利用価値

 

薬剤師夫婦/夫です。

 

今日は薬剤師の利用価値について漠然と語ってみたいと思います。

 

私が今の会社に入った時は、まだ薬局バブル期であり、薬局を開局すれば儲かる時代でした。

 

薬剤師の求人も多く薬剤師国家資格を持っているだけで引く手数多。

 

それが国の調剤報酬改定の度に、利益は下がり、国のビジョンに沿わない薬局は淘汰されていきました。(厳密には、淘汰と言うより合併吸収されていきました。)

 

ここ数年で薬局数は閾値に達した為、これからは質が伴わない薬局は大きな組織に吸収されるか経営が成り立たなくなっていきます。

 

「薬剤師は薬のプロとして患者に何ができるのか。」

 

そんな事を日々考えている薬剤師はどのくらいいるのでしょう。

 

今30代前半の薬剤師は、薬学部が6年制に移行したての頃の薬学教育を受けてきています。

 

様々な社会的な期待を抱かれ薬剤師として仕事に取り組んで10年、現在の50,60代の一部の薬剤師の存在に悪戦苦闘してきた方も少なくないと思います。

 

『処方箋の通りに薬を準備する。』

『患者に薬を渡す。』

『世間話=服薬指導』

 

↑昔の薬剤師にとっての仕事は現在国から評価されていません。

 

『処方箋を疑ってみる。』

『必要のない薬は渡さない。』

『適切な薬物治療=服薬指導』

 

これらが今国から評価されている内容です。

 

要するに薬学的知識が評価される時代です。

 

勉強しない薬剤師は国から評価されません。

 

しかし、薬剤師の国家資格は更新制ではない為、持っているだけで仕事を与えられ、表面的には薬剤師の仕事ができているように見えます。

 

質に関しては同じ医療従事者が見れば一目瞭然です。

 

この歯痒さは若い薬剤師だけでなく国も感じているところではないでしょうか

 

これからの薬局薬剤師は、薬学的知識の質の差が評価される時代だと思います。

 

データから得られた結果を考察し自分の見解を持つ。

 

各々の見解のレベルの差はあれど、「知りません。」「わかりません。」は許されない世界です。

 

ノーベル賞を取った大先生が言っている事だから間違いない!は科学的根拠に乏しく、勿論実績ある先生の見解は参考になりますが、あくまで自分の見解は自分自身の責任です。

 

医療の中枢を担うのは医師であり、誰よりも勉強し、技術を磨き、知識を身につけ、日々プレッシャーを打ち勝っているリスペクトすべき存在です。

 

薬剤師は薬学的知見に基づき、各々見解を持つので、その負担を少しでも減らすことに利用価値があると思います。

 

確かに薬剤師がいると業務量は増えてしまいます。(特に疑義照会の対応など)

 

他科受診による重複を減らし、医療費削減だけでなく、薬の治療効果を最大化できる薬剤師は使い方次第ではないでしょうか。

【ジェネリック】後発品使用推進に思うこと

薬剤師夫婦/夫です。

 

今日はジェネリック医薬品について。

 

ジェネリック医薬品とは、薬価収載された先発医薬品(新薬)の特許が切れて、他社が同一有効成分を安価で製造販売したものです。

 

一昔前までは『ゾロ品』(後からゾロゾロ販売される為)などと揶揄され、良い印象を持たない医師が多かったのですが、今では医療費の拡大に伴い、子ども/孫世代への負担が現実的になってきた為、治療に影響がないと判断される範囲で柔軟に対応する医師が増えてきました。

 

薬剤師の役目は『医薬品の安定供給、適正使用』が教科書的なところ。

 

現実的なところで言うと『医療費の削減』にあると考えます。

 

「残薬調整」がその主だったもので、高齢者の自宅を訪問すると大量の飲めていない「飲み残しの」薬があるにも関わらず、主治医からの定期処方は定期受診の度に止まっていない状態を解消します。

 

「ジェネリックの使用」は医療費削減に繋がるとされ、薬剤師(特に薬局の)は理論上同じ治療効果を、安価で提供できるジェネリック医薬品による薬物治療を推進します。

 

海外でのジェネリック医薬品使用率は90%以上であり、国民皆保険の本邦はまだまだ80%を目指す段階です。

 

引き続きジェネリックを推進する中で、ジェネリックメーカーをよる品質や対応に差があるのも事実で、「詳しくは先発メーカーへ」などと自社の製品に責任を持てない会社も少なくありません。

 

そこで現在では、先発メーカーの特別な許可を得て製造販売されるジェネリック、『オーソライズドジェネリック(AG)』がその魅力を発揮しています。

 

原薬や添加物が異なる一般のジェネリックとは異なり、多くの点で先発と同一のオーソライズドジェネリックにも種類がありますが、ジェネリック医薬品が必要とする『生物学的同等性試験』をもはや必要としないAGは【AG1】とされ、製品名以外全く同じと言って差し支えないレベルで同一です。

 

それでいて薬価は先発医薬品の半分となれば、知識のある人に正しく説明すれば先発志向の方でもオーソライズドジェネリックAG希望となるわけです。

 

残念ながら、全ての医薬品にAGがあるわけではないので、この説明で国の医療費削減にどの程度貢献できるか疑問ではありますが、何でも小さなことからコツコツと取り組むことが大切だと思います。(言い聞かせる)

 

ただし、取り分け湿布などの外用薬は基剤(有効成分を溶かしている土台)の違いによる使用感の違いから効き目に違いが出てしまう可能性がある為、治療への影響を慎重に判断しなければなりません。

 

プラセボ(偽薬効果)との有意差(科学的な客観性を持って立証できる有効性)がデータとして出たものが医薬品として使用されているわけで、プラセボを無視しているわけではありません。

 

ジェネリックの使用が医療費削減に繋がると「されている」と言ったのは、先発志向の方がジェネリックに変更し、様々な理由で再度先発に戻った場合、余計に医療費が嵩むことがあり、このことも医療費削減の観点から無視できません。

 

思い込みやバイアスを考慮して個々にあった薬物治療をすすめることも薬剤師の役目だと日々意識して仕事に取り組んでいます。

 

 

【市販薬シリーズ4】トランシーノⅡ(追記あり)

 

薬剤師夫婦/夫です。

 

今日は久々の市販薬シリーズ。

 

第4段は、『トランシーノⅡ』

 

【第1類医薬品】トランシーノII 240錠

【第1類医薬品】トランシーノII 240錠

  • 発売日: 2014/03/10
  • メディア: ヘルスケア&ケア用品
 

 

有効成分はトラネキサム酸。

 

合成アミノ酸で、風邪で耳鼻科にかかった際、処方されたことのある方もいるかもしれません。

 

風邪🤧の時の扁桃炎、咽喉頭炎に適応を持ち、抗プラスミン作用で止血作用を発揮します。

 

市販薬で風邪薬としてなら飲まれたことがあっても皮膚症状の改善にこの薬を飲む事は少ないと思います。

 

と言うのも処方箋医薬品のトラネキサム酸の適用として肝斑は入っていません。(一部湿疹などに適用あり)※

 

※保険診療を行なっているところもあるようですが、肝斑に適応のある医薬品としてはアスコルビン酸が主流。

 

ただ過去の使用経験から市販薬として肝斑に有効な医薬品『トランシーノⅡ』のような商品が発売されました。

 

処方箋医薬品の適応を追加しないのは莫大な時間(新規有効成分としてほどではないが)とコストがかかる為です。

 

メーカーはもちろん、病気で困っている人がいれば予算を注ぎ込んで(希少疾病などでは補助あり)治療薬の開発に💊取り組みますが、病態の性質上(肝斑は命には関わらない、優先順位は低い)、ここにお金をかけて適用を追加するメリットがないと判断していると考えます。

 

市販薬であるなら処方箋医薬品で出してもらえた方が保険で安く治療してもらえるのに。。。と思われる方も以上の理由から保険適用は難しいことがわかるかと思います。

 

今回ご紹介の『トランシーノⅡ』はOTC医薬品としても唯一【肝斑】に対して効果が期待できるものとして発売されています。

 

【肝斑】とは

https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/site_kanpan/sp/distinguish/photo.html

 

8週間と服用できる期間が定められていますが、それだけ効果も期待できる医薬品だと言えます。

 

薬学的観点から言うと、タンパク質(三大栄養素のうち人間を形作る細胞の主な構成成分)の合成成分がアミノ酸なので比較的安全だと言うことが想像できます。

 

止血薬、風邪薬としての安全性、使用歴から考えて副作用は少なく、肝斑に対する用量もこれまで使用されてきた量と変わりないので安全性は高いと言えます。

 

ご興味ある方は、気になることから薬剤師にご相談ください。

【腎機能】想像以上に大切

 

薬剤師夫婦/夫です。

 

今日は腎臓について。

 

腎臓は人間の体の中の老廃物をろ過し、必要なものは再吸収、不必要なものは排泄し人間の恒常性を保つのに不可欠な働きをしています。

 

もし腎臓の働きが悪ければ、老廃物が長時間各臓器を循環し致命的なダメージを負わせかねません。

 

薬に関していうと、薬物は人間の体の中に入り、効果を発揮し、消失するまでに4つの段階があります。

 

消化→吸収→代謝→排泄

 

いわゆるADME(アドメ)と言われるものです。

 

薬物が期待する効果を発揮する為には、どこの段階に問題があってもいけません。

 

薬剤師は常にその人の年齢や体調、既往歴などからADMEに問題ないことを判断して服薬指導を行なっています。

 

その判断の肝となるのが肝臓と腎臓です。

 

薬物は主に肝代謝、腎排泄の何れかによって消失します。

 

どちらも血液検査でその機能検査は可能です。

 

腎臓の働き具合でその用量が決められる薬が沢山あります。

 

例えばレボフロキサシンと言う薬物。

 

抗生物質ですが、腎臓の機能が落ちている場合(大半はお年寄り)投与初日は1回500mg、2日目以降250mgを連続投与することになっています。

 

なぜ通常は500mgを連続投与する薬をそうするのではなくこのような投与方法なのか。

 

抗生物質には耐性菌のリスクが付き纏います。

 

耐性菌の発生は予後への影響、多剤耐性菌の発生による治療困難に繋がりかねません。

 

レボフロキサシンのこのような投与は腎機能の低下している人の場合、排泄機能が落ちていることで血中濃度推移が通常よりも長くなってしまうからです。

 

長くなるなら良いじゃんと考える人もいるかもしれません。

 

ただし、抗生物質の場合はPK/PD理論に基づく、その薬物に最適な抗菌スペクトルや血中濃度推移がある為それに則ることが薬物治療では必須となっています。

 

レボフロキサシンはその理論に基づけば、血中濃度を初期に一気に上げて以降は速やかに排泄させることが最もよいとされています。

 

従って通常よりも少ない量で継続し排泄を速やかにする事が腎機能低下患者には必要とされています。

 

その他の薬物にも別の理由で、用量を少なくする事が多々あります。

 

どのくらい減量するのかは血液検査による腎機能の低下度合いによるので、一概に腎臓が悪いからこれだけ減量するとは言えません。

 

年齢を重ねると腎臓の機能は自ずと低下しいく為、高齢の方は特に、血液検査を実施した上で薬物治療を開始されることをお勧めします。

【漢方2】手足の冷え

 

薬剤師夫婦/夫です。

 

先日の回診同行にて。

 

「手先、足先の冷えがある。痺れや痛みは然程ないようだが、冷えを改善する漢方はないか。」

 

気虚なら、十全大補湯

瘀血なら、当帰芍薬散

血虚なら、温経湯

 

結果的には、十全大補湯に似た人参養栄湯になりました。

 

患者さんの状態、虚証・実証の判断などから適切な漢方にたどり着く為にはまだまだ知識や経験が不足していることを思い知らされました。